熊本地震、真っ先に被災地入りのボランティア団体 「活動控えて」呼びかけ無視の行動に物議

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   熊本地震の発生から1週間になるなか、熊本県社会福協議会(社協)が2016年4月21日、ボランティアの受け付けを発表し、復興に向けた本格的な支援活動が始まった。そんな中、熊本県御船町や益城町で地震直後から活動するボランティア団体「一般社団法人TSUNAGARI」(つながり)に注目が集まっている。

   同団体は、県社協が被災地でのボランティア活動を控えるよう呼びかける中、現地入り。震災支援に当たってきた。しかし、ネット上では、個人口座を寄付金の振込先に指定したり、メンバーの過去の言動がネット上で掘り起こされたりするなど、その活動や過去の行為をめぐり、物議が起きている。

  • 御船町役場は感謝の言葉述べる(画像と本文は関係ありません。熊本市東区の森恭三さん提供)
    御船町役場は感謝の言葉述べる(画像と本文は関係ありません。熊本市東区の森恭三さん提供)
  • 御船町役場は感謝の言葉述べる(画像と本文は関係ありません。熊本市東区の森恭三さん提供)

御船町役場「震災直後の混乱をおさめてくれた」

「もう藁にもすがる思いでした」

   御船町役場の担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、震災直後の混乱をこう振り返る。TSUNAGARIが町に来たのは最初の地震から2日経った16年4月16日頃だ。ある人物に「東日本大震災時で実績がある団体」だと紹介された藤木正幸町長が、町に呼び込んだという。TSUNAGARIのホームページなどによると、同団体は東日本大震災をきっかけに活動を開始し、今も本拠地を宮城県南三陸町に置いてさまざまな被災地支援を続けている、という。

   法人代表のフェイスブックページなどによると、今回の熊本地震では、最初の地震が発生した直後の15日の段階で同県益城町に到着。その後、御船町にも拠点を拡大した。東日本大震災時の支援で培われたノウハウを生かし、がれき除去や物資支援の呼びなどを行った、という。17日には、このフェイスブックページに、法人代表と藤木町長が並んで支援を呼びかける動画も掲載された。

   実際、地震直後の御船町の住民支援をTSUNAGARIが仕切っていたようで、御船町の担当者は「若い人もたくさん動いてくれましたし、震災直後の混乱をおさめてくれた、という認識です」と感謝の言葉を口にする。

寄付金910万円を数日で集める

   ただ、熊本県社協は16日の段階では、地震直後で安全確保が保障できないとして、現地でのボランティア活動を控えるよう公式サイトで呼びかけていた。つまり、TSUNAGARIは県社協の呼びかけに従わないかっこうで現地入りしていたことになり、これにはネット上で「なにをやっているんだ」「独断専行」などの批判が出た。この点について、御船町の担当者は「県社協の指示については、知らなかった」としている。

   また、TSUNAGARIに所属するとみられる男性が一見震災と無関係な「個人口座名」を寄付金振込先としてフェイスブックページに掲載(21日14時までに削除)していたことや、その前に活動していた益城町では、医師の処方が必要な薬を募集した形跡(21日14時までに削除)があることが、ネット上で指摘されてもいる。そうしたなかで、クラウドファンディングサイト「READYFOR」(レディーフォー)を通じ、910万円を超える被災地への寄付金を19日までに集めたこともHPでは報告されている。

   ほかにも、メンバーの過去の言動をめぐる情報がツイッター上には多く投稿されるようになり、

「通りすがりのボランティアが危機を仕切るとは」
「好き勝手行動するのは、正しいボランティア団体とは言えない。」

といった批判も増えた。

   御船町の役場にも、19日ごろから、「そういった団体と連携するのは御船町にとって良くない」「団体のメンバーが問題行動を起こしている」との電話が数多くかかってきたといい、担当者は「我々はまったく知らなかったのですが...。問題が発覚すれば、警察機関と連携して対応するつもりです」と話している。

   一方、御船町には4月20日までに、国土交通省や山口県の連絡員や事務職員が派遣されたと発表され、同町担当者によると、町の社会福祉協議会によるボランティアセンター(VC)も立ち上がった。このため、「今後はこちらのVCに活動拠点を移していくつもりです」と同町は言っている。

   J-CASTニュースは、TSUNAGARIに対して、その活動や寄付金の使途等について複数回、取材を試みたが、21日16時まで、回答はない。

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