「キャンセルがないわけではない」
とはいえ、長引く余震によって、観光や宿泊施設の安全確認もままならない状況が続いているところもあり、GW中に熊本県などを訪れる観光客の減少が懸念されている。日本経済新聞(2016年4月17日付)によると、中国外務省が中国国民に対して5月16日まで熊本県への渡航を禁じ、九州地方への渡航も慎むよう求めた、と報じた。韓国でも九州へのツアーを中止しているという。
「爆買い」の消費効果が期待できる中国人観光客らが来られないことは大きな痛手だ。たとえば、九州の小売業は2014年4月の消費増税後の購買意欲の落ち込みが一巡。インバウンド需要の拡大を「追い風」に時計や宝飾品などが売れて、ようやく回復の兆しがみえてきた。その矢先の震災で、中国人観光客らの「爆買い」消費への期待も大きくしぼんでしまう。
また、国内でも熊本県内へのアクセスが寸断されたままでは、「行きたくとも行かれない」。熊本県周辺へのツアーについて、ジェイティービー(JTB)は「キャンセル数についてはお話しできません」というが、「(キャンセルが)ないわけではありません」と話す。「基本的には、当社から(ツアーを)中止することはありませんので、いまは現地の情報を正しくお伝えすることを最優先しています」と、状況を説明する。
また、エイチ・アイ・エス(HIS)もキャンセルの状況については答えられないという。そのうえで、5月8日までの出発便のツアー(企画旅行)については「解除権」を付与して、手数料なしでのキャンセルに応じている。「ツアーの中止はありませんが、お客様のご要望に対して対応させていただいています」と話している。