NHKが130以上あるツイッターアカウントのフォローを解除すると発表し、話題になっている。残念がる声も上がっているが、ネット上ではむしろ、「当然だ」という指摘の方が多い。
「ユル~く会話しますよ」。NHK広報局のツイッターアカウントは、かつてこんなキャッチフレーズで独特の発言を繰り返して反響を呼んだ。
「『フォローは支持・賛同だ』と批判受けた」と説明
震災時にNHK映像の無断ネット中継を独断で許すとツイートして賞賛を集めたほか、「ネット弁慶は東北へボランティアに行け」との内容を書き込んで炎上したこともあった。
担当者が変わった後も、フォロワーは増え続け、現在は100万人を超えている。NHKからのフォローも13万人に上っている。
それが2016年4月18日になって、広報局を含めすべての公式アカウントでNHK以外のアカウントへのフォローを4月末めどに解除するとNHKオンライン上で告知した。
そこでは、「かつては私たちも、フォローをツイッター上の慣習と考え、フォローしていただいた方に対して積極的にフォローを返していました」としたうえで、同時に批判も受けるようになったと明かした。それは、「フォローすることは、そのアカウントの意見に対する支持・賛同ではないか」というものだ。
そして、「この方針について様々な意見をお持ちの方がいらっしゃると思いますが、NHKのインターネットガイドラインに定めた公平公正という公共放送の基本姿勢を堅持するためにはやむをえないと判断しました」と説明した。ただ、一部の公式アカウントで、事件事故などの取材を申し込むために一時的にフォローすることはありうるとしている。
NHKの告知は、各メディアが報じたが、毎日新聞(18日夜、電子版)は、批判的な識者の話を紹介し、「一律のフォロー解除は、多様な視聴者の声に耳を傾ける手立てを自ら制限するものとして、疑問の声も出ている」と指摘している。
毎日新聞のツイッター「最近のNHKどこか変です」
毎日新聞はまた、東京本社編集編成局のツイッターアカウントで前出記事の読みどころを紹介したうえで、「安倍政権や籾井会長の意向でしょうか。最近のNHKどこか変です」と揶揄した。どんな意味かはっきりしないが、政権に批判的なアカウントもフォローしていることにダメ出しがあったのではないのかということらしい。
大阪運動部のアカウントでも、「まさにソーシャル・ジャーナリズムの時代に逆行しています。これまでに増して、のっぺらぼうメディアになってしまうのでしょうか」とつぶやいたほか、毎日の各記者も次々、疑問・批判のツイートをしている。
ネット上でも、NHKの告知について批判的な声はあり、「言いたい事だけ言って人々の言うことには関わらないと思われても仕方ない」「情報集める気のない報道機関だってことを自白してしまった」などと書き込まれている。
しかし、告知に賛同する向きの方が目立ち、「正しい判断だな 火種は少ないに越した事はない」「今までフォローしてたってのが驚きだわ」との声が上がった。毎日の記事についても、「フォローだけが双方向性を実現する方法ではないし、ずれた指摘」「リプライ見てれば情報はキャッチ出来る」などと疑問が出ている。
NHKの広報部では、取材に対し、フォロー解除に批判があることについて、「NHKオンライン上に書いてあることがすべてです。様々な意見があることは見越したうえでの判断になります」と答えた。安倍政権などの意向があるかについては、「まったく論外で、そんなことはありません」と全面的に否定した。