刑務所は「災害時に自給できる体制」が整っている
法務省矯正局の広報担当者は4月19日、「刑務所や少年鑑別所といった矯正施設は、災害時に自給できる体制を整えています」と取材に対して明かした。その上で、
「刑務所などに収容されている受刑者は、自治体の公的支援を受けることができません。そのため、各施設では、職員と受刑者の1週間分の食料を備蓄しているほか、炊き出しにも利用される『レスキューキッチン』や自家発電用の機材、救助用の工具などを準備しています」
と説明する。また、受刑者を収容するといった施設の性質上、「建設当時の耐震基準を満たした上で、堅ろうな造りの建物が多いです」とも語る。実際、今回の地震を受けても、熊本刑務所は大きな被害を受けることはなかったという。
また、東日本大震災以降、災害時の避難所として刑務所などを利用するため、施設と自治体の間で防災協定を交わす動きが進んでおり、16年4月19日現在のところ全国14の施設で協定が結ばれている。今回の熊本刑務所のケースについても、法務省は「防災協定の締結に向けて熊本市と協議中だったため、近隣住民からの理解が得られたのではないか」とみている。
ネット上で「災害時の避難所」としての刑務所の働きに期待する声が出ていることについて、前出の熊本刑務所の担当者は、
「とにかく全国でも初めてのケースということで、関係各所の協力を得ながら手探りで進めているというのが実状です。今回の経験が、これからのモデルケースとなれば幸いです」
と話した。