記者クラブ制度は調査報道を弱体化させ、メディアの独立性にとって障害に
ケイ氏は、メディアの仕組みとして独立性が確保されにくいとも指摘。その一例として挙がったのが記者クラブ制度で、「廃止すべき」と明言した。
「記者クラブのシステムは廃止すべきだと思う。アクセスを制限するツールだ。記者クラブに加盟している人と記者クラブ外の人の両方に話を聞いて思うのは、(取材源のアクセスを維持するために自分の論調を変えてしまう)『アクセス・ジャーナリズム』を助長しており、調査報道を弱体化させているということ。メディアの独立性にとって障害になっていると思う」
一方、ケイ氏は憲法や法律など、理念や規範のレベルでは表現の自由が極めて重視されていたり、ネット上では世界的にも表現の自由が守られていたりすることについては肯定的な発言を繰り返した。幅広い「表現の自由」の概念の中でも、特にメディアの現状を問題視した形だ。
「ネット上での規制が(世界的に)強まっている今、日本が良い実践を行っているというのは重要」
「法的なベースライン(基本的な水準)や自由な表現に対する社会の期待値は高いが、特にメディアの独立性をめぐる最近の傾向は、非常に懸念すべき」
ケイ氏は今後報告書をまとめ、17年には人権理事会に提出する予定だ。