東京メトロ千代田線の電車内で、東京・足立区の会社員の男(63)がつり革を引きちぎり、器物損壊の疑いで現行犯逮捕されるというニュースが流れると、ネット上は「どんな怪力だよ」「つり革ってそんなに脆い?」などと騒然となった。
鉄道関係者も「本当にちぎれるのか不思議だ」というこの事件、2015年11月から首都圏で頻発している電車内でのつり革の盗難と関係があるのか、警察は捜査を進めている。
つり革の上の部分はポールに残った状態になっていた
警視庁にJ-CASTニュースが16年4月19日に取材したところ、事件は4月16日19時42分から45分までの3分間に起こった。千代田線町屋駅から北千住駅間の1駅間でのことで、男はつり革を両手でつかみねじった後で体重をかけて引きちぎったのだという。男は容疑を認めている。損害見込みは1140円。
動機については捜査中で、複数の報道によると、電車が混雑して立ちっぱなしだったことで腹が立ち、つり革を壊して鉄道会社を困らせようと思ったなどと供述したという。NHKは「他にもやったことがある」との供述内容も報じた。4月5日に千代田線の電車内でつり革を引きちぎり線路上に捨てた男がいた、という目撃情報があり、防犯カメラなどからこの男を特定し、現行犯逮捕のこの日は捜査員が車内で張り込んでいた。
逮捕ニュースが報じられると、ネット上ではつり革を引きちぎることは可能なのか、などと騒ぎになって、
「普通、切れる?」
「どんな怪力だよ」
「あれを引きちぎるほどの怒りってスゴいな・・・」
「手で引きちぎれるようなヤワなものに安全を託していたのかよ。ふざけてる」
などといった書き込みが掲示板に出た。警視庁の話では、
「つり革をつかんで、グルグルとねじり回し弱くしてから引きちぎったということです。そのため、つり革の上の部分はポールに残った状態になっています」
と説明した。
首都圏で盗まれたつり革は別の手口の可能性
東京メトロは今回の事件をどうとらえているのか。広報に話を聞くと、つり革は塩化ビニール製とナイロンバンド制の2種類があり、120キロ以上の耐久があるため、報道を見て「本当にちぎれるのか不思議に思った」などと語るなど、想定外の出来事だったということが分かる。警視庁の説明のように、
「グルグルとねじり回すことによって引きちぎりは可能か」
については
「わからない」
ということだった。3分間でこうした一連の行動ができるとしたら、何か特殊なコツのようなものがあるのかもしれない。首都圏では15年11月からつり革の盗難が相次いでいて、その数は400を超えたとされている。報道によれば今回の事件から警察は何らかの糸口をつかむための捜査を始めたとしている。それについては、
「盗まれたつり革は引きちぎられたものではなく、そっくり無くなってしまったのが殆どです。一気に十数個が消えたこともあり、別の手口による犯行だと思います」
と東京メトロ広報は話している。