アベノミクス・シナリオはこれからどうなるのか 同日選・消費増税延期「決断」の時期近づく

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   安倍晋三首相の経済政策、アベノミクスに陰りが目立つ中、安倍政権の今後の政策運営はどう展開していくのか。消費税増税の延期論、衆参同日選挙論などもからめて、主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)や「ニッポン一億総活躍プラン」などの「道具立て」組み合わせたシナリオが練られている。

   しかし、ここにきて熊本を中心とする九州中部地方を大規模地震が襲うという想定外の要素が加わった。日本経済全体に対するマイナスの影響も現実味を増しつつあり、経済運営のシナリオが描きにくくなっているのも事実だ。政権にとって決断の時期は近づきつつある。

  • 消費増税を延期するか否か、首相の決断はいかに(2014年6月撮影)
    消費増税を延期するか否か、首相の決断はいかに(2014年6月撮影)
  • 消費増税を延期するか否か、首相の決断はいかに(2014年6月撮影)

7月10日投開票の選挙勝利が目標の経済運営

   今後の日程はこうだ。

   5月20~21日=G7財務相・中央銀行総裁会議
   5月26~27日=伊勢志摩サミット
   5月末=「一億総活躍プラン」、「骨太の方針」、「日本再興戦略(成長戦略)」決定
   6月1日=通常国会会期末
   6月23日=参院選公示
   7月10日=参院選投開票

   安倍首相が国会会期末に衆院解散に踏み切れば、衆院選は6月28日公示、7月10日同日選になる。

   安倍政権としての最大の目標は選挙勝利。解散の有無も、参院選単独と同日選のどちらが有利かの一点で判断するわけだが、「安倍首相としては、基本的に同日選に勝って長期政権を確かなものにし、あわよくば憲法改正まで持ち込みたいのが本音」(全国紙政治部デスク)との見方が強い。そして、選挙をにらみつつ、2017年4月に消費税率を予定通り10%に引き上げるか、延期するかを判断することになる。

   そこで、まず必要なのが、足元の景気下支えだ。金融の異次元緩和による円安で輸出企業を中心に企業収益を改善させ、株価を上げるというアベノミクスの好循環が政権の生命線だが、円高に反転し、企業収益も頭を打ち、賃上げも限定的といった現在進行中の「陰」を放置できないのは当然だ。

   2016年度予算成立を受け、安倍首相は4月5日の閣議で予算の前倒し執行を指示。具体的には、公共事業など12.1兆円のうち、約8割に相当する10兆円規模について、9月末までの半年間に前倒しで契約を済ませることを目指す。例年は年度前半で7割弱だから、8割なら上期に1兆円規模で公共工事が上積みされたのと同じ効果が期待できるというわけだ。

   日銀が追加緩和に動く可能性もある。5月は金融政策決定会合がなく、6月になれば選挙が迫るので、4月27、28日の決定会合が選挙前の事実上のラストチャンスになる。

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