男性特有の生殖器にできる前立腺がんは最近急増しており、2020年には肺がんを抜いて男性がかかるがんのトップになるといわれている。
これまでもセックスを頻繁にする人ほどかかりにくいという研究があったが、改めて1か月あたり21回の射精をすると、発症するリスクが2割低くなるという研究がまとまった。米ハーバード大学のチームが欧州泌尿器科誌「ヨーロピアン・ユーロジー」(電子版)の3月29日号に論文を発表した。
1か月の回数が21回以上だと発症リスクが2割減
前立腺がんは50代以上のシニア層に多く、年をとるにつれ増えていく。食生活の欧米化と高齢化で過去30年間に6倍増えた。動物性脂肪のとり過ぎと、加齢による男性ホルモンの減少でホルモンバランスが崩れることが原因だ。
研究チームは、米国の男性医療従事者約3万人の性生活を含む健康データを分析した。その結果、1か月あたりの射精回数が21回以上の男性は、4~7回の男性に比べ、前立腺がんを発症するリスクが全年代の平均で約20%低かった。特に40代の人に関連性が強く、22%低かった。ちなみに射精回数には自慰も含まれる。
同様の調査は、米国やオーストラリアなどで相次いでいる。オーストラリアのビクトリア州がん協会が行なった調査では、週5回以上射精する男性は、1回以下の男性に比べ、発症リスクが約3分の1という結果が出ている。
今回の調査について、ハーバード大学のジェニファー・ライダー教授は「前立腺がんの影響を考えると、男性が生涯にわたって頻繁に射精することは非常によい結果をもたらします」と語っているが、なぜよいかについては、「今回は観察研究なので因果関係は調べていません」と明らかにしなかった。
シニアに優しい予防法はトマトを食べること
理由については、日本の専門家のサイトをみると、「精子は精嚢(のう)に溜めておくと古くなって有害な発がん物質に変わる心配があるので、定期的に放出した方がいい。また、精嚢を空にすると、再度精液で満タンにしようと前立腺が活発に働くため、いつまでも若々しくいられる」と書いてある。
それにしても、シニア層にとっては、「月に21回以上」とか「週5回以上」とか、キツ~イ要求だ。そこでもっと楽な予防法としてオススメなのが緑黄色野菜、なかでもトマトを食べること。トマトの赤い色素成分であるリコピンには優れた抗酸化作用があり、前立腺がんの増殖にかかわるホルモンの量を調節する働きがある。
米ブリガム女性病院とハーバード大学が約5万人を調査した研究によると、トマトケチャップやトマトソースなどのトマト加工食品を週2回以上食べていた人は、そうでない人に比べ、前立腺がんの発症リスクが36%低かった。