平成28年熊本地震の発生から2日半が経ち、テレビ番組に変化が出てきた。スポンサーが出稿を自粛したのか、「ACジャパン」のCMが頻繁に流れるようになったのだ。
東日本大震災の発災直後にも、「ポポポポーン」のフレーズで知られる「あいさつの魔法。」や、金子みすゞさんの詩集を引用した「こだまでしょうか」など、ACのCMばかりが放送され、大きな話題になっていた。今回も当時を思い出す人は多いようで、すでに「つらい」との声が出ている。
報道番組中心に増える「マナー広告」
「ACジャパン」は、メディアや広告会社ら約1000社が会員となっている公益社団法人。かつては「公共広告機構」といい、公共マナーなどを啓発するCMを多数制作している。2015年度は「みんなで考えましょう、みんなのこと。」をスローガンに、各種キャンペーンを行っている。最後に「ACジャパン」という音声が流れるので、それと分かるが、初めて見た人は何の広告かわからないことも多い。
通常でもテレビCMなどを放送しているが、災害時などにスポンサーが自社製品CM出稿を自粛した場合には、「穴埋め」として放送されることが多い。
熊本地震が発生した後、そうした傾向が強まり、16年4月16日夜に首都圏で放送された「情報7Days ニュースキャスター」(TBS系)では、全42本のうち、19本がACによるものだった。その後も、報道番組などを中心に、CMがACだらけの番組が目立っている。
東日本大震災の時より比率は少ないようだが、時間帯によっては「ACばかり」との印象を視聴者が持つには十分な量となっている。
このため、ツイッターには、
「マジでAC増えてきたのつらい」
「ACのCM、震災を思い出すからやめてほしい」
「東日本の震災の頃を思い出して憂鬱な気分になるのは俺だけやろか...」
「久しぶりにテレビ見たらCMがACばかり。震災なんだなと思ってしまう複雑な気持ち」
などといったつぶやきが増えている。
いずれも東日本大震災時のACを連想させるというのがほとんどで、5年前の記憶が日本人に強烈に焼き付いていることを思わせる。中には「こんな時こそ経済活動しないと」といった理由から、通常のCM自粛に批判的なツイートも流れている。