三重県の尾鷲港で深海ザメ「メガマウス」が水揚げされたことをうけ、ネット上では地震との関連がうわさされている。
メガマウスの発見と地震発生が時期的に近かった例が、過去には見られた。おりしも熊本県を強い地震が襲ったタイミングと水揚げが重なったため、「気をつけましょう」「大きい地震くるかもね」と新たな地震を予兆する声も上がっている。
2か月以内にマグニチュード6.0以上の地震発生
メガマウスが水揚げされたのは2016年4月15日のこと。体長は約5メートル、重さは1トン以上で、2日前に沖合に仕掛けられた定置網に掛かっていたという。メガマウスは深海に住む大きな口が特徴のサメ。ほとんど海面に浮上せず、その姿を見る機会は少ない。生態もほとんど解明されておらず、「幻のサメ」とも呼ばれる。世界全体でも、今まで50回ほどしか発見されていないようだ。
「幻のサメ」として注目される理由は、その珍しさ以外にもある。以前から、ネット上で地震発生との関連が注目されているのだ。一部ニュースサイトでは、発見、捕獲から2か月以内にマグニチュード(M)6.0以上の地震が起きたと報じられている。
例えば、福岡市東区の砂浜で死骸が発見された1994年11月29日から1か月半後、阪神・淡路大震災(M7.3)が発生した。
最近の事例で見ても、11年1月14日の水揚げからおよそ2か月後に東日本大震災(M9.0)が、14月4月14日の水揚げから約1か月後に伊豆大島近海を震源とする地震(M6.0)が起こっている。水揚げ、漂着発見の全事例を確認できていないが、時期だけで見ると関連性があるようにも思える。
尾鷲港でメガマウスが水揚げされた16年4月15日、熊本県では大きな地震が起こっている。こうしたジンクスを信じるネットユーザーの間では
「大きい地震くるかもね」
「地震来たらどうしよ...」
「気をつけましょう」
といった不安の声も上がっている。
イワシの死骸が大量漂着、異常な「大漁」...
なぜこのような関連性が認められるのか。様々な事例から地震前にみられる動物の「異常行動」を指摘した大阪大学名誉教授の故・池谷元伺氏(電子工学)は著書「地震の前、なぜ動物は騒ぐのか―電磁気地震学の誕生―」(1998年刊行、日本放送出版協会)で、「深海魚の出現」を地震の予兆現象として挙げている。
地震発生前、地中の岩石破壊で生じる電磁波パルスを魚がキャッチ。水中に流れる電磁波に反応した魚が普段見せない行動をとる、という理屈らしい。
確かにメガマウスに限らず、魚が異常行動で地震を予知している、との話は以前から見られた。 東日本大震災の直前、経験したことのない「大漁」を味わった地元漁師らは「魚たちは地震と津波を事前に予知した」などと証言している。2012年には、千葉県と神奈川県の海岸にカタクチイワシの死骸が大量に打ち上げられ、ネット上で「大地震の予兆ではないか」とささやかれた。ただこの時は、直後に大地震は起きていない。
メガマウスの発見と地震発生の関連は未だ科学的に証明されていないが、時期が時期だけに、いささか「不気味」ではある。