北海道新幹線(新青森―新函館北斗、約149キロメートル)の2016年3月26日~4月10日の利用実績は、16日間の1日あたりの乗車人員が平均5700人、乗車率で27%だった。北海道旅客鉄道(JR北海道)が4月13日に発表した。
北海道新幹線は4月10日までに466本が運行され、合計で約9万2200人が利用した。乗車人数が最も多かったのは、開業初日の3月26日で約1万4200人、乗車率で61%だった。
開業前の予測上回り、「それなりに利用されています」
JR北海道によると、北海道新幹線の1日あたりの平均乗車人員5700人を、在来線だった中小国―木古内間の特急・急行(約2700人、うち夜行600人)の前年同期と比べると、約3000人、2.1倍に増えた。
乗車人数の最多は開業日の1万4200人で乗車率は61%。2日目の3月27日は約8700人で乗車率が37%だった。4月以降は平日が平均約3900人、土日は約5800人が利用した。最低は平日の4月7日の約3300人、乗車率で17%だった。
駅別の1日あたりの利用者は、新函館北斗駅が2000人、木古内駅は170人、津軽いまべつ駅は90人。開業初日の入場券の販売数は、3駅の合計で1万9100枚に達した。
JR北海道は、「もともと青函トンネルを利用する在来線の特急列車の利用者数は1日あたり2700人でした。新幹線の開業前には1日平均5000人の利用を予測。結果的にはそれを上回り、16日間で1日あたり217%。夜行を除けば270%の利用になったのですから、好調ですし、それなりに利用されているとみています」と話す。
「桜前線が北上するのにあわせて利用者増」を期待
ただ、乗車率をみると、東京を発着する新幹線の利用が31%(下り28%、上り33%)に達しているものの、仙台や盛岡、新青森を発着する新幹線は13%(下り20%、上り7%)と伸び悩む。
そのため、JR北海道は仙台などの東北で重点的に営業活動を強化する考え。「青森―函館間はもともとビジネス利用が少ない区間なので、観光客の取り込みが重要と考えています。ゴールデンウイークには、桜前線が北上するのにあわせて利用者が増えることを期待しています」という。
4月28日~5月8日の大型連休期間中の予約状況は、10日時点で約6万8300席が埋まり、予約率は27.7%。前年と比べると約2.4倍(夜行を含む)に増えている。
さらに、7~9月に展開する「青函デスティネーションキャンペーン」に向けて、観光PRを加速。道外の旅行会社向けに北海道新幹線を利用したツアー企画を携えて営業に歩くほか、函館で開催されるビジネス会議などの販売を促進していく。
北海道新幹線の1日あたりの平均乗車率「27%」は、当初予測していた1年間の乗車率(26%)とほぼ同じ水準にあたる。JR北海道の島田修社長は2015年11月に、利用者の見通しについて「最低でも1日あたり、往復で5000人程度に利用してもらえるようにしたい」と話していた。
北海道新幹線、2030年の札幌延伸を見越して建設進める
たしかに開業後の16日間の乗車率をみれば、予測した水準を上回ってはいるが、「もともと他の新幹線に比べて、きわめて低い想定」「努力目標が低すぎる」といった声は少なくなかった。
なかには北海道新幹線の開業が、「いま以上にJR北海道の経営の足を引っ張る」と、懸念する向きもある。
JR北海道は、「(16日間の実績では)実際に2倍以上の利用があります。利用者が少なく見えるのは10両編成で走らせているからです」と話す。そのうえで、「北海道新幹線は(新青森―新函館北斗間の)短い距離での開業にもかかわらず、2030年の札幌延伸を見越して建設を進めており、その分、初期投資がかさんでいることがあります。当面の赤字見通しはそのためです。しかし、今後は営業施策などを通じて乗車率を上げていくとともに、東北からの利用者を増やしていければ、新幹線で(の採算は)トントンになるとみています」と説明。ただ、その時期については明言していない。
インターネットには、
「札幌まで行けないし飛行機のほうが速いし安い。乗車率が上がらないのは当然」
「とにかく、運賃が高すぎる」
「運休させたほうが赤字額が減るだろ!!」
「空気運ぶ高速列車は田舎では非効率。田舎は田舎らしく慎ましく」
などと、手厳しい声が寄せられている。
「札幌までつながれば...」と期待する声もあるが、札幌まで延伸するのは、まだ14年も先のことだ。