牛豚の赤肉や甘い飲み物をとり過ぎると初潮が早まる
最近、初潮を早める食生活に関する研究が相次いで発表された。2015年1月、米ハーバード大学が9~14歳の少女約5600人を対象に調査した結果を発表した。糖分の多い飲料をよく飲む子の初潮年齢を調べると、飲まない子に比べ、平均で3か月早いことがわかった。砂糖が血液中のインスリン濃度を高めて体内のホルモンバランスを乱し、女性ホルモンが過剰に分泌されるからだ。
同大学のジェニー・カーウイル教授は「早すぎる初潮は、少女の思春期うつ病の大きな原因になるばかりか、将来の乳がんリスクを高めます。砂糖入り飲料には何の栄養価値もないので、飲むべきではありません」と警告した。
2016年3月、米ミシガン大学が、5~12歳の少女456人を対象に、牛や豚の赤肉を食べる量と初潮年齢の関係を5年間追跡調査した結果を発表した。すると、1日に2回以上赤肉を食べている子は、週あたり4回未満しか食べない子に比べ、平均で5か月早かった。
米国の畜産農家には、牛や豚の成長を早めるため、飼料の中に成長ホルモンをたっぷり入れる所が少なくない。生後半年で親牛豚と同じ大きさになる。同大のエリカ・ヤンセン博士は「それらの成分が少女の初潮を早めている可能性があります。人生の早い段階での肉の過剰摂取が、その後の人生における乳がんの危険性を高めているのです」と警鐘を鳴らした。
両大学の女性研究者2人が、乳がんのリスクを指摘しているのは理由がある。両研究ともに、食生活の改善で早い初潮を防ぐことが乳がん予防につながるという目的で行なわれたからだ。
乳がんの発症には、女性ホルモンのエストロゲンが影響しており、生涯にわたってエストロゲンを分泌した量が多く、分泌期間(年数)が長い人ほどリスクが高いというデータがある。このため、初潮が早くて閉経が遅い欧米人は、初潮が遅くて閉経が早いアジア人より乳がんになりやすいといわれる。