2キロの重りつけても足が軽々動く ロボット技術応用の歩行支援機を実体験

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   健康寿命を延ばす効果が期待される「歩行」だが、加齢による筋力低下や疾患による麻痺で、歩けなくなってしまうこともある。

   こうした人をサポートするために、二足歩行ロボットの技術に着想を得て開発されたのが、歩行支援機「ACSIVE(アクシブ)」だ。記者が実際に体験してみた。

  • イベント会場でACSIVEを着用してみせる佐野教授
    イベント会場でACSIVEを着用してみせる佐野教授
  • イベント会場でACSIVEを着用してみせる佐野教授

「機械」を装着した違和感はない

   「ACSIVE(アクシブ)」は、「マイナス10歳分、歩行機能を取り戻す」が開発コンセプトで、病気や高齢で自立歩行能力が低下した人をサポートする装置だ。あくまで歩行の支援を目的にしており、ひざや足首を支えたり、立ち上がる際に補助したりする機能はない。

   片足用と両足用があるが、どちらも腰からひざに器具を沿わせるようにベルトで装着するだけで済む。足に直接着けても、ズボンの上から装着してもよい。ゆったりとしたサイズのズボンなら、ACSIVEを着けた足の上から履けそうだ。女性ならスカートの下に装着できるという。重量も片足用が550グラムと、それほど重くない。腰のあたりにバネが内蔵された筒状のパーツが位置するが、何か機械が取り付けられているような違和感はない。

   記者が実際にACSIVEを装着してみると、ズボンの黒色に溶け込んで、遠目にはわからないほどだ。付け心地も軽く、装着感はあまり気にならない。

   10歩ほど歩いてみた。ところが、あまり「足が自然に動く」というような感覚はなかった。「付け方がまずいのか」と不安になったが、製造に携わった今仙技術研究所開発センターの鈴木光久氏によると、歩き方や個人の感度の違いによって体感できる効果に差があるという。

「あくまで歩くときの足の振り出しをサポートするもので、モーターによって力任せに足を動かすわけではありません。筋力の衰えや麻痺が原因で歩行時に足の重さを感じる状態でないと、平地では効果を得にくいかもしれません」

   記者は健康な30代なので、サポートが必要ないようだ。そこで、足を重くするために2キロ程度のアンクルウェイト(重り)を着けて、再度歩いてみた。

   今度は、はっきりと違いが分かった。最初にACSIVEをつけずに歩くと、ほんの4、5メートルの距離でも足を振り出す際に重さを実感する。しかし装着後は、重くなったはずの足がむしろ軽いとすら思えた。測定はしていないが、足が前に出やすくなり、歩幅が広がったようだった。

「高齢者であれば、足が軽くなって歩幅が広くなる例は確認しています」(鈴木氏)
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