買ったばかりでもすぐ伝線する――こんな声がしばしば利用者から投げかけられる日本のストッキング。今、ネット上で「伝線しないストッキングはすでに開発されているが、未だに販売されないのは、定期的に買い替えてくれないとメーカーが困るから」という、まことしやかな「都市伝説」が広まっている。
伝線に対する多くの利用者の悩みの裏返しとも言えそうな現象だが、真相はどうなのか。ストッキングメーカーに話を聞くと......。
就活で「カバンの中に予備を入れておけ」
伝線とは、ストッキングに空いた穴や糸のほつれが縦状にひろがる現象だ。裂けたようになり、本来の機能を果たさなくなる。
日本の女性にとってストッキングは、ビジネスシーンで効果的に用いたり、冷え対策で履いたり、足を綺麗に見せたりと、付き合う時間はとにかく長い。もはや生活必需品と言えるだろう。
しかしその薄さゆえ、すぐに伝線してしまう、との声は昔から少なくない。東京都内で働く20代の女性に話を聞いたところ、「爪がひっかかったり、カバンのチャックが当たったりしただけですぐに伝線してしまいます。より『素肌感』を味わいたいので、なるべく薄いものを履きたいのですが......悩みどころです。多くの女性は外出の際、カバンに予備を入れていると思いますよ」と明かす。
また、別の20代女性は「就職活動の時は『カバンの中に予備を入れておけ』と色々な人に口酸っぱく言われた」とも話す。面接官にストッキングの伝線を気付かれると悪印象、ということなのだろう。
ネット上では、そんな伝線を防ぐ様々な「裏ワザ」が紹介されている。代表例が「凍らせる」「酢水につける」の2種類だ。マイナビが運営する学生向け情報サイト「フレッシャーズ」の2014年7月3日付け記事によると、2つはあくまで科学的根拠に基づかない「都市伝説」。とはいえ、利用者が伝線に抱く恐怖感が共有され、こうした「伝説」が生まれる事情は垣間見られる。