2020年東京五輪のエンブレムが最終候補4作品に絞り込まれたが、前審査委員らがブログなどで次々に批判している。エンブレムを巡るゴタゴタは、いつまで続くのだろうか。
「組市松紋(くみいちまつもん)」、「つなぐ輪、広がる和」、「超える人」、「晴れやかな顔、花咲く」。4作品には、それぞれA、B、C、D案とアルファベットが振られている。
「『A案』ありきのプレゼンテーション」?
ネット上では、早くも「似ているもの探し」が始まり、アニメのあるシーンを連想させるなどの声も一部で上がっている。「専門家」からは早くもダメ出しが来た。
そのうちの1人が、前審査委員のデザイナー平野敬子氏だ。
平野氏は、2016年4月9日のブログで、デザインの特徴から、4作品のうちA案だけが際立つ見え方をしていると指摘した。平野氏によると、A案だけが藍色のワントーンで表現しており、ほぼ完全なシンメトリーで、市松文様が静的な印象を与え、日本らしいコンセプトになっている。
また、複数のデザイン・プランを分析する場合、心理的に作用する順列記号は用いないといい、「不適切であり、『A案』ありきのプレゼンテーション」「不平等な発表形式」と批判している。
そもそも、大会組織委が8日に4作品に絞ったことを発表したときに、不透明な選考方法があったと報じられていた。
それは、絞った作品に商標調査で難点が次々に見つかったとして、うち1作品が異例の「敗者復活」を遂げていたことだ。平野氏が言うA案がその作品かどうかなどは分からないが、こうした経緯から、ネット上では、今回の選考についても不安の声が上がっている。
「受け付け順に並べただけで、恣意的なものではない」
4作品すべてについて、ダメ出しする専門家さえ現れた。
スポーツ報知によると、前審査委員で日本グラフィックデザイナー協会会長の浅葉克己氏は、取材に対し、「4作品ともデザインとして低レベル」だと難色を示した。多くの意見を聞き過ぎると無難なものに集約されてしまうからだそうだ。白紙撤回された佐野研二郎氏(43)のデザインの方が「よっぽど良かった」といい、「世界に笑われてしまう」と嘆いたという。
ネット上でも、4作品については様々な議論になっており、
「なんだか ありきたりなデザインだな」
「前の東京五輪にあったダイナミズムとキレがない」
といった不満の声が出る一方で、佐野氏のデザインには否定的な声も多く、
「今回の方がずっといい」
との感想も相次いでいる。
各メディアのアンケート調査では、4作品のうちどれを推すかについては、バラバラな結果が出ており、群を抜くものはなさそうだ。
大会組織委の広報担当者は、平野敬子氏の批判について、「ブログの内容をまだ確認できていません」とコメントを控えたが、A案などの順列記号を用いたことについては、
「応募の受け付け順に並べただけで、特段恣意的なものではありません」
と説明。浅葉克己氏が4作品ともダメ出しをしたことにも、「個人の見方だと思いますので、コメントできるものではないです」としている。