国会審議の場で他党のことを「嘘つき、アホ、バカ」などと公然と罵倒するという異例の出来事が起きた。委員長からは「良識の範囲内」で発言するように再三にわたって注意を受けたが意に介さなかった。
「本題」の政策に関する質問はほとんど行わず、持ち時間の大半を民進党と共産党の批判に費やすという有様だ。この人物、過去の夕刊紙の取材では自らを「ヤジ帝王」だと表現するほどの人物で、まったく批判を意に介していない様子だ。
「アホはダメなんですか? 理事会で検討を」
発言の主は、おおさか維新の会に所属する足立康史衆院議員(比例近畿、50歳)。2016年4月7日に行われた総務委員会で質問に立ち、冒頭から民進党の安全保障関連法への対応をやり玉にあげた。
「だいたいね、廃止法案が対案だと言って胸張ってる民進党って、アホじゃないかと思いますね、ほんとに。あのね、アホです、アホ。あのね、あほはダメ?じゃあ、うそつきって言ったらいいんですか?うそつき、うそつき、うそを塗り固めた」
民進党の山尾志桜里政調会長は4月5日の衆院本会議で、自民党が14年12月の衆院選で環太平洋経済連携協定(TPP)への反対姿勢を示していたことを「うそ」だと批判していた。他の議員からヤジが飛ぶ中、足立氏は山尾氏の発言を念頭に、遠山清彦委員長(公明)を
「うそはいいんですか?うそは。アホはダメなんですか?委員長、これ、理事会で検討してくださいよ」
と挑発した。遠山委員長は苦々しい表情で
「国民の代表として立法府の委員会にふさわしい良識の範囲内で適切な表現に十分配慮してご発言いただきたい」
などと繰り返し注意したが、「火に油」状態だった。