タクシー初乗り、東京では「410円」の現実味 でも、長距離はどうなる?

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値下げではなく、運賃の組み替え

   そもそも、日本交通は「(今回の申請は)値下げではありません」とも話す。「高速道路の料金と同じで、運賃の『組み換え』を行うものです」と説明。実車(走行)距離が短い場合は安いが、長距離を利用する場合には「値上がり」するケースがある。「たとえば1万円超の距離の利用者は全体の1%ほどいるのですが、そういった利用者の場合には、現行よりも数百円高くなります」というのだ。

   タクシーの初乗り運賃については、値下げ競争による収益減や、それに伴う運転手の労働環境の悪化などを防ぐのを狙いに、2014年1月に特定地域におけるタクシーの適正化・活性化に関する改正特別措置法が施行。規制が強化されたため、当時の「ワンコイン(500円)」タクシーが廃業に追い込まれた経緯がある。

   初乗りの距離を短縮してその分安く設定し、逆に長距離利用の場合には値上げすることで収益減を抑える狙いがあるとみられる。

   また、日本交通の営業区域は東京都内を中心に、関係会社や提携するグループ会社が首都圏や大阪、京都をカバーしているが、東京都以外の営業区域での適用は「考えていません」と話している。

   さらに、「初乗り410円」タクシーの実現には時間もかかる。国土交通省自動車局によると、「日本交通が申請した日(2016年4月5日)から3か月以内に、車両台数の7割を超える、営業区域内のタクシー会社が同じような申請を行わなければ、新しい運賃の審査には入れません」という。

   東京23区内と武蔵野市、三鷹市の法人タクシーは346の事業者で2万7646台(2014年度、関東運輸局調べ)。日本交通の車両数は約3500台(グループを含む)なので、7割超(約2万台)を確保するとなると、多くのタクシー会社の「賛同」が必要になるわけだ。

   関東運輸局によると、4月6日時点で35社のタクシー会社から申請があったという。

   運賃の水準も「410円」で決まったわけではない。日本交通と同様に、他のタクシー会社も初乗りの距離と運賃の変更を申請するが、「他社が『410円』で申請するとは限らないからです」(日本交通)と説明。最終的には、いくつが示された運賃の中から、国交省が決めることになる。

   「初乗り410円」タクシーが本格的に町を走るには、あと1年ほどかかりそうだ。

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