民進党の山尾志桜里政調会長(41)が政治資金をめぐる問題について説明しようと2016年4月6日夕方に開いた会見では、「元子役」というキャリアをつい思い起こしてしまうほど、張りのある声と滑舌の良さは健在だった。
山尾氏は会見で、元公設秘書が架空の経費を計上していた疑いを指摘。残されたレシートなどを精査した上で導いたという「仮説」だったが、その秘書には事情聴取しないままで会見に臨むという、元検事らしからぬ「詰めの甘さ」も見せた。政調会長の職は続投を明言。不祥事を受けた多くの会見では「恒例」の頭を下げる形での謝罪は抜きで、今回の会見を押し切ったが、国民の納得を得られるかは未知数だ。
多額のガソリン代支出に元秘書が関与した「蓋然性が相当に高い」
山尾氏の会見での説明によると、12年分のガソリン代の支出が総額429万2818円と突出して多く、特に11年8月から12年5月にかけては月に30万円を超えた。この期間が、かつて山尾氏の事務所に在籍していた公設秘書の在職期間とほぼ一致していることなどから、山尾氏は
「多額のガソリン代金の支出にこの秘書が関与している蓋然性が相当に高い」
と指摘した。
山尾氏は「保育園落ちた日本死ね!!」と題したブログを国会審議で取り上げて脚光を浴びる前は、甘利明経済再生担当相(当時)の秘書による金銭授受疑惑について「本人の責任を免れるものではない」などと追及していた。山尾氏は会見で、自らの事案と甘利氏の事案との違いを聞かれて、
「違うとしか言いようがない。それぞれ事案は全部違う」
と、やや言葉に窮した様子だった。実際、両者の事案には「違い」がある。
甘利氏が16年1月28日に開いた会見では、秘書が千葉県内の建設業者から寄付として受け取った300万円を「費消してしまった」と説明。この会見で、甘利氏は大臣辞任を表明していた。