不可解な政治資金の流れを週刊誌に指摘された民進党の山尾志桜里政調会長(41)が2016年4月6日夜に会見し、2万円ガソリンプリペイドカードの「大量購入」について釈明した。不自然な「購入」だったことは認めたが、すべて元「公設秘書」の行為で、そのときは気づかなかったとしている。
山尾氏は、会見会場となった衆院第2議員会館の民進党会議室に予定より15分遅れの18時45分に到着した。
「私のことでお騒がせをし...」
政調会長の定例会見として、約100人を前にしても、山尾氏は、舞台や検事の経験があるためか、落ち着いた様子だ。
「まずは、私のことでお騒がせをし、お待たせしてすみませんでした」
とお詫びをし、他の話題を短く話した後、ガソリンプリカのことから口を開いた。
この問題では、山尾氏の事務所になっている旧民主党第7区総支部の2012年の政治資金収支報告書で、2万円プリカに地球5周分に近い計105回、総額210万円の支出をしていた。山尾氏によると、帳簿などを調査した結果、「事務所」がプリカを大量に購入した事実はないことが分かったという。
このとき、当時の「公設秘書」がスタンドのレシートと引き換えに事務所から代金をもらっていたが、そのレシートが極めて不自然であることが、今回の一件で判明した、としている。事務所では、プリカをせいぜい1、2枚持ってお金をチャージし、街宣車などに給油していたが、この公設秘書は、給油とは無関係のレシートを多数、事務所に出していたというのだ。
無関係なレシートは、92%にも上っていた。このレシートは、どこから出て来たのかは明言しなかったが、山尾氏は、スタンドの発券機に不要のレシートを入れるところがあり、ほかの人の分を自由に持ち帰ることができる状態だったと指摘した。
「公設秘書」は4年前に辞めたが、理由は説明せず
つまり、まったく根拠はないが、この秘書は、架空のレシートを使ってガソリン代の支給を事務所から受け続けていた可能性があるということらしい。
秘書は、12年7月で辞表を出して事務所を辞めたといい、それ以降は、不自然なレシートは見つかっていないという。しかし、山尾志桜里氏は会見で、辞めた理由や状況などは、明らかにしなかった。
山尾氏は、自分やほかのスタッフは不正な使い方はしていないと説明し、プリカを換金して政治資金などに使ったり有権者に物品を配ったりしたこともないとした。今後について、山尾氏は、前出の秘書に対し、「弁護士と相談して、必要な法的措置を取りたい」と話した。そして、説明の最後に、事務所運営について各種の指摘を受けたことを真摯に受け止めるとして、「私の監督が至らず、申し訳なく思っています」と自らの責任も認めた。
続いて質疑応答に移り、記者らからは、なぜ当時気づかなかったのかなどと追及を受けた。これに対し、山尾氏は、「気づくことができなかった」と言うのみだった。
民進党の政調会長になったばかりであることを指摘されると、「民進党の大事な時期に、党に申し訳ないと思っています」と話したが、引責辞任について問われると、「期待に応えるよう頑張ります」と答え、続投の意志を明確にした。