プロ野球のヤクルトが本拠地にしている神宮球場について、2020年の東京五輪開催時に半年前後も使用中止にすることを大会組織委が求めたと報じられ、ネット上で反発の声が上がっている。
神宮球場といえば、プロ野球の公式戦が行われているほか、東京六大学野球の聖地ともされたところだ。
明治神宮に五輪組織委が交渉
そればかりでなく、東都大学野球や夏の高校野球東・西東京大会の会場にもなっている。プロとアマの双方が愛用しており、日本一とされる9割超の稼働率を誇る球場だ。
ところが、新聞各紙によると、東京五輪の大会組織委が2016年3月下旬、球場を所有している宗教法人「明治神宮」に対し、20年5月から野球以外の目的で使うため使用中止にしてほしいと言ってきた。中止期間については、9月まで、11月までと報道が分かれている。
五輪は7月24日~8月9日、パラリンピックは8月25日~9月6日となるため、開催期間以外も球場を使うことになる。
野球以外の目的とは、五輪の機材置き場や観客らの待機場所を考えているという。球場は、五輪のメイン会場になる新国立競技場に隣接しているため、通行を制限するなどセキュリティ対策上も必要だとの報道もあった。
とはいえ、神宮球場では、5か月間ならプロとアマで約200試合、7か月間なら約300試合も行われている。もし使用中止になったら、代替場所はどうするのか、補償などはされるのか、といった問題が浮上してくる。
これに対し、プロ野球や大学・高校野球の関係者は、突然の要請を聞いて困惑していると報じられた。
「ヤクルト地方巡業のいい機会」?
例えば、高校野球なら、東・西東京大会の決勝は、2万人規模のスタンドが必要で、近くで神宮以外の代替場所を探すのは困難だという。
関係者の困惑ぶりも報じられると、遠藤利明五輪相は、4月5日の閣議後会見で苛立ちを露わにし、「全部交渉事ですから、議論があってしかるべき」とまだ打診段階であることを強調した。
神宮の使用中止要請について、ネット上では、報道で明らかになると疑問や批判が相次いでいる。
「なぜ野球より五輪が優先されるねん。絶対反対」
「神宮使えないならまじでオリンピックしなくていいわ」
「いろいろ問題の出てくる五輪やねぇ」
使用中止期間についても、あまりに長いとして、「オリンピック開催期間中だけでいいでしょ」との指摘もあった。
一方で、プロ野球などを地方で開催するのにいい機会だと、前向きに捉える意見も多い。「ヤクルトは、地方巡業すればプロ野球ファンが喜ぶよ」「この際、本拠地移転も考えるべきではないか?」「新潟に行くしかないな」といった声だ。
元プロ野球選手でタレントの板東英二さん(76)は4月5日、TOKYO MXテレビ「バラいろダンディ」への出演で、神宮の使用中止について「当然のことでしょう。地方の皆さんに公式戦を見てもらういい機会じゃないですか」と感想を漏らしていた。