「長寿大国」日本の和食を中心としたバランスのよい食生活が改めて世界の熱い視線を浴びている。
2016年3月、国立がん研究センターは、政府が作った「食事バランスガイド」をもとに、バランスのよい食事をしている人ほど死亡リスクが減るという研究を発表した。すると、欧米メディアが「日本人の長寿の秘訣はコレだ」と相次いで報道した。
バランスよく食べる人は脳血管の死亡率は2割減
「食事バランスガイド」は、2005年に農林水産省などが策定した。食生活を見直して寿命を延ばすことを目指し「1日に何をどれだけ食べたらよいか」をわかりやすい図表で示した。具体的な1日3食分の料理の分量は次のとおりだ。
(1)主食(ご飯、パン、麺)=ご飯なら中盛り4杯程度。
(2)主菜(肉、魚、卵、大豆料理)=3皿程度。
(3)副菜(野菜、キノコ、イモ、海藻料理)=野菜料理5皿程度。
(4)牛乳・乳製品=牛乳なら1本程度。
(5)果物=ミカンなら2個程度。
研究チームはこの「食事バランスガイド」をもとに、全国約8万人の男女(45~75歳)を対象に15年間追跡調査し、食事のバランスとすべての病気の死亡率との関係を調べた。食事のバランスはどれだけガイドに従った食事をしているかを点数化した。
その結果、最も点数の高い人は最も低い人に比べ、死亡リスクが病気全体で15%低かった。病気別では、脳血管疾患で22%、循環器疾患で16%低かった。ただし、がんは特に関連がみられなかった。
英、米紙が特集「日本人の食事を学べ」
研究論文が英医学誌「BMJ」の2016年3月22日号に発表されると、さっそく反響を呼び、英紙タイムズが3月22日付で「日本人のように食べる方法」という見出しで特集を組み、「魚や野菜を中心とした食生活が、日本人の驚くべき長寿に貢献している」と報じた。米メディカル・デイリー紙も3月23日付で「米国人は加工食品ばかり食べているが、日本人のバランスのとれた食事を学び、健康的な生活を維持すべきだ」と呼びかけた。
食事バランスガイドは、農林水産省のウェブサイトで見ることができる。