「法改正に向けた大きな一歩」
実は、国内でも12年の動物愛護法改正時に、ペット販売業者などに対して「出生後56日未満の子犬猫の販売や展示を禁止する」という条項が新設された。だが、販売禁止となる日齢は、16年8月までは「45日」、それ以降は「別に法律に定める日」までは「49日」と読み替えるという附則がつけられている。
いったいなぜ、法律の本文で「56日」と定めておきながら、実際の運用は「45日」となったのか。朝日新聞が運営する動物情報専門サイト「Sippo(シッポ)」の16年2月2日の記事によると、「動物取扱業者らが作る業界団体や一部国会議員が強く反対した結果」だという。
つまり、今回札幌市が可決した条例は、「努力義務」という形ではあるが、遅々として進まない法整備に先んじたものといえる。そのため、ツイッターなどには条例の可決前から「具体的数字を掲げたことに大きな意義がある」「全国に広まって欲しい」といった書き込みが相次ぎ、大きな話題を集めていた。
北海道の動物愛護団体「しっぽの会」は、「札幌市の条例をきっかけに、同様の動きが全国に広まればと思います」と期待を表す。また、東京都内で活動する動物保護団体も、「法改正に向けた大きな一歩です」と賛辞を送った。
ただ、札幌市の動物管理センターは4月5日のJ-CASTニュースの取材に対し、「反響の大きさに驚き、戸惑っています」と率直な心境を明かす。その上で、複数の動物愛護団体から期待の声が上がっていることを伝えると、
「今回の条例は、あくまで『市民に向けた努力義務』を呼び掛けたもので、強制力を持つものではありません。そもそも、販売業者への『規制』は法律で定める内容ですので、条例にそこまで求めることはできません」
と冷静に話した。