「一歩間違えば大惨事」メトロ乳母車事故 新米車掌が「非常停止をためらった」ワケ

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ボタンが押された時点でかなりのスピードが出ていた

   東京メトロの規定によると、駅と駅の間で車内のボタンが押された場合、すぐに止まるのではなく次の駅まで走ることになっている。ただ、今回は、電車が駅のホームを完全に離れたわけではないため、車掌が緊急停止させるべきケースだった。ホームのボタンが押された場合も、マニュアルに従えば緊急停止させるべきだった。

   車掌は車内やホームからの通報に対応しなかった理由について、それぞれ

「(最後尾からホームの安全を確認する)出発監視作業を優先してしまった」
「非常停止の操作をためらってしまった」

などと釈明しているという。半蔵門線を走る電車は10両編成で、全長200メートル。2回の通報の時点でそれぞれ車両の半分、4分の3がホームを離れていたことになり、ある程度スピードも出ていたとみられる。

   ホームのボタンが押されたため、駅員がホームに駆けつけて会社側は事故発生を把握。車掌を錦糸町駅で降ろして別の人に交代させた。この時点で、非常停止ボタンへの対応を「ためらった」車掌は、ベビーカーが挟まっていたことに気づかないままだったという。通常、九段下から錦糸町まで16分程度かかる。この間、車掌は非常停止の警報を無視し、異常に気付かないまま運行を続けてきたことになる。

   車掌は20代の女性で、15年4月に新卒で東京メトロに入社。15年11月26日から座学や実習で車掌としての訓練を受け、16年3月16日から単独乗務を始めたばかりだった。

   東京メトロでは、この車掌を乗務から外す措置を取っており、「社内規則にのっとり厳正に処分いたします」と話している。

   石井啓一国交相は4月5日の閣議後会見で、

「一歩間違えれば大事故につながりかねない事案。このような事案が生じたことは大変遺憾」

と話した。

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