綿菓子のような白い毛につぶらな瞳、「キューン」という鳴き声、CMを見て思わず抱きしめたくなった人が多いのだろうか。ソフトバンクの新CMに登場した「ギガちゃん」が、ポメラニアンの人気をにわかに押し上げている。
ブームの兆しが見え始めた一方、早くも心配され始めたのは「捨て犬」増加のリスクだ。犬を保護するボランティアは今から、「二年後にポメ(ラニアン)の保護が増えるだろうと言われている」と予測している。
犬保護ボランティアの憂鬱なつぶやき
「ギガちゃん」の初登場は2016年1月15日。同日より放送が始まったCMでは、道端に捨てられているところを偶然アヤ子(上戸彩さん)に拾われ、白戸家の新しい一員となった経緯が描かれている。
持ち前の愛くるしさで白戸家の人々を虜にするが、北海道犬の「海斗くん」演じる「2代目お父さん」には、「腹黒い一面」を見せる。初登場からおよそ3か月、女子高生に可愛がられたり、「2代目お父さん」と早口言葉の勝負をしたりと、様々なパターンのCMが放送されてきた。
「ギガちゃん」は真っ白な毛におおわれた子犬で、犬種はポメラニアン。登場以降、その可愛さがネット上で注目され、ツイッターに
「ポメラニアン飼いたいな~~」
「白ポメほしい。可愛い」
といった声が寄せられており、「ギガちゃん」の影響でポメラニアンの飼い主希望者が増えているのは間違いなさそうだ。
東京都内のある大手ペットショップチェーンは4月4日のJ-CASTニュース取材に、「注文が急増したわけではありませんが、店舗を訪れた数人のお客様から実際『ギガちゃん』の名前が出ているようです」と明かす。
ただ、こうしたブームには「不安要素」も指摘される。4月2日、犬の保護ボランティアに取り組むあるツイッターユーザーが「案の定ソフトバンクのCM効果でポメの注文が殺到してる」と報告し、「ボランティアさんの間では、二年後にポメの保護が増えるだろうと言われていて...鬱だ」と複雑な心境を吐露した。
子犬時代は真っ白でも、成長につれ色が出ることも
ブームを引き起こした犬で後日、保健所があふれかえる――。そんな事態が以前もあったようだ。
ペット業界に詳しいライターは「ダックスフンドなど、ブームを起こした犬種が後で保健所に多く持ち込まれた事例は聞きます」と取材に話した。
そのうえで、「持ち込まれた一部の犬は保護団体や保健所の努力で新しい飼い主に引き取られますが、残念ながらまだまだ多くが殺処分されます。『こんなはずじゃなかった』を生まないため、飼う前に犬種や性格を下調べしたり、ペットショップやブリーダーに相談したりするのが大切です」とアドバイスする。
さらに、「ギガちゃん」と一般のポメラニアンは異なる点も多いという。このライターは
「『ギガちゃん』のような全身真っ白なポメラニアンは非常に珍しいと言えます。ポメラニアンの王道はオレンジ色ですから。また、『ギガちゃん』は今パピーコート(編注:子犬時代のほわほわとした毛)ですが、成長に伴って毛の質感が変わり、色が出てくる可能性もあります。性格面でも、犬ぞりに使われていた犬をルーツに持つポメラニアンはそれなりに活発ですよ」
とCMだけの印象には注意を促したうえで、「一緒に暮らすと楽しい犬種なので、一過性のブームで終わらず、安定した人気が続くといいですね」と、語っている。
飼う前の下調べや相談、飼ってからはありのままを受け入れる姿勢が大事ということだろう。