寿司の「醤油皿」をめぐる話題が、いまネット上で大きな注目を集めている。その背景にあるのは、醤油用の小皿をそもそも設置していない回転寿司チェーンの存在だ。
ツイッターやネット掲示板などでは、「醤油用の小皿置いてないとかありえん」「醤油皿がなければ寿司屋といえない」と反発する意見が目立つが、寿司の歴史や食べ方などに詳しい専門家は、「これも時代の変化の1つ」と冷静にみる。
「醤油皿がなければ寿司屋といえない」
寿司の「醤油皿」に注目が集まることになったのは、あるネットユーザーがネット掲示板に寄せた1つの書き込みがきっかけだ。「スシロー」を訪れたというユーザーが2016年4月1日未明に、
「この前行ったスシローで小皿がなくなってた...」
とのコメント付きで、ある店舗に掲出された「お席への小皿設置取り止めについて」という注意書きの画像を投稿したのだ。こうした画像がまとめサイトなどで紹介されると、ツイッターなどには、
「スシローが小皿の設置をやめる?どうやって食うんだ?」
「は?醤油用の小皿置いてないとかありえんやろ?」
「醤油をかけて食べるのではなく、醤油に浸して食べたい」
などと驚きを表す声が相次いだ。ほかにも、「寿司皿を醤油用に使えばいい」と代替案を示す意見もあれば、「醤油皿がなければ寿司屋といえない」などと極端な意見を呈するユーザーまで出ていた。
いったいなぜ、スシローは醤油皿を廃止したのか。同チェーンの運営会社「あきんどスシロー」の広報担当者は、16年4月1日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「実は、小皿を廃止したのは15年のことになります。それまでも、関西など一部地域では食文化の面から小皿を設置しておりませんでしたが、適量を出すことができるプッシュ式の醤油さしを全店で導入したことに合わせ、全国的に廃止する運びとなりました」
と答える。その上で、プッシュ式の醤油さしを使って「寿司の上に醤油を直接垂らして食べて頂くことを想定しております」とも語った。また、消費者からの要望があった一部店舗では小皿を引き続き設置しているという。
「くら寿司」「はま寿司」も...
ただ、醤油皿を置いていない回転寿司チェーンはスシローだけではない。くらコーポレーションが運営する「くら寿司」、ゼンショーホールディングス(HD)傘下の「はま寿司」でも、醤油皿を設置しない方針をとっている。
こうした風潮について、寿司の歴史や食べ方などに詳しい職人養成学校の関係者は、16年4月1日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「これも時代の変化の1つでしょう。そもそも、寿司が庶民に定着した初期の段階では、職人が醤油を塗ってお客様に出すのが一般的でした。いま主流となっている醤油皿を使うスタイルも、長い寿司の歴史から見ればここ最近で定着したものに過ぎません」
と話した。
また、地域情報サイト「Jタウンネット」が15年12月25日にまとめたアンケート結果によると、寿司に醤油を直接かけると答えた人は全体の5.1%にとどまっていた(投票期間15年11月25日~12月21日、総得票数551票)。今後、「直接」派が増えていくのか、それとも・・・