女子中生誘拐事件で千葉大生を襲い始めた「風評被害」 大学は寺内容疑者の卒業「留保」を決めた

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   「千葉大は呪われているのだろうか...」「就活中の千葉大生は大変だな」――。埼玉県朝霞市の女子中学生が約2年ぶりに保護された事件で、未成年者誘拐の疑いで逮捕された寺内樺風容疑者(23)が在籍していた千葉大学に対し、こんな声がネット上で囁かれている。

   今回の事件をきっかけとして、千葉大園芸学部出身の市橋達也受刑者によるイギリス人女性殺害事件をはじめ、同大をめぐる凶悪犯罪が再び取り沙汰されているためだ。一部のネットユーザーからは「千葉大は犯罪が多いイメージ」という声も上がっており、千葉大在学生は「風評被害」の影響を心配している。

  • 「風評被害」に悩む千葉大生
    「風評被害」に悩む千葉大生
  • 「風評被害」に悩む千葉大生

千葉大生が集まるネット掲示板は「炎上」

「千葉大って犯罪者出しすぎじゃね?」
「千葉大は犯罪が多いイメージ」
「犯罪者多いから千葉大はやめとけ」

   寺内容疑者が千葉大工学部に在籍していたことが各種報道で伝えられた16年3月28日以降、ツイッターやネット掲示板には上記のような投稿が相次いで寄せられている。それだけでなく、千葉大生が集まるネット掲示板には「監禁しながら卒業できる千葉大」「また千葉大関係者の犯罪か」といった罵詈雑言に近い書き込みが殺到し、いわゆる「炎上状態」になっている。

   こうしたマイナスイメージを抱くネットユーザーが続出する背景には、09年に逮捕された市橋達也受刑者の存在があるようだ。千葉大園芸学部を05年に卒業した市橋受刑者は、07年にイギリス人女性を殺害。その後2年7か月にもわたる逃亡生活を送り、逮捕後の11年に逃走時の心境などをつづった手記を出版したことで世間を大きく騒がせた。

   また、09年には千葉大園芸学部4年(当時)の女子大生が殺害され、自宅マンションを放火される事件も起き、そのことを引き合いに出すネットユーザーも出ている。

   こうした凶悪犯罪が発生する割合は、同程度の学生数(1万人程度)を抱える他大と比べて極端な差が存在するわけではないとみられる。だが、今回の埼玉少女誘拐の事件も含めて、1つ1つの事件がメディアに大きく報じられ世間の関心を集めたものばかり。そのため、ネット上では千葉大生とみられるユーザーから「千葉大は呪われているのだろうか...」との呟きも漏れている。

卒業生は「在学生の就活に影響が出なければ...」

   ネット上で盛んに取り沙汰される「千葉大と犯罪」のイメージに、大学関係者からは「風評被害」を訴える声も上がっている。

   千葉大卒業生OGの20代女性は16年3月31日のJ-CASTニュースの取材に対し、

「大学時代の友達や後輩と『また千葉大だよ。やばいね...』って話していたんです。市橋受刑者の事件のときもそうですけど、千葉大の名前がこんな形で出るのは卒業生としては正直複雑です」

と答えた。また、就職活動の真っただ中で起きた事件だけに、「在学生の就活に影響が出なければいいんですが...」と心配するように続けた。

   千葉大教育学部3年生で現在就職活動中だという20代女性は、今回の事件が同級生の間でも話題になっていることに触れ、「なかには、『これじゃ犯罪者養成大学だよ』と自虐的に話す人もいます」と語る。また、本人は就職活動への影響はあまり心配していないというが、就活中の同級生からは、

「就活に影響したらどうするんだ」「後輩が就職活動で苦労するかもしれない」

と憤る声も聞かれるという。

   このように、今回の事件が大学関係者の間で波紋を広げる中、当の千葉大は16年3月31日、寺内容疑者の卒業認定および学位授与を一旦取り消し、卒業を留保することを決定したと発表した。この決定に対しネット上では、「容疑者の段階で処分するのは重大なミス」「そんなに自校の名誉を守りたいのか」といった批判が相次いでおり、一部からは「千葉大批判恐れすぎて批判されてて笑う」と皮肉る声も上がっている。

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