「ハッハッ、ハックショ~ン!」。花粉症の人にとって、つらい季節がまだまだ続く。マスクのお世話にならない人を見て、うらやましく思うアナタ。神様はイジワルばかりしていませんって。
花粉症をはじめ喘息(ぜんそく)、アトピー性皮膚炎などアレルギー体質の人はがんになりにくいという研究報告がたくさんあるのだ。過去1年以内に発表されたものを見ても以下のとおりだ。
花粉症は全疾患で43%、がんでは52%も死亡率が低い
2015年12月にスペイン国立がん研究センターが、喘息患者がすい臓がんにかかるリスクの調査結果を発表した。それによると、すい臓がんの患者1267人と健康な人1024人の計2321人を対象に、喘息患者が占める割合を調べた結果、喘息の人がすい臓がんにかかるリスクは、喘息ではない人に比べ36%低かった。特に17年以上の長期間喘息を患っている人では61%も低くなった。
2015年4月には、米の南カリフォルニア大学のチームが、アトピー性皮膚炎などのアレルギーのある人は、そうでない人に比べ、大腸がんを発症するリスクが14%低いという結果を発表した。危険度を人種ごとに比較した念入りな調査で、日系米国人は13%減、白人は15%減、黒人は19%減、ハワイ先住民は28%減といった具合だ。
2015年9月には、東京大学のチームがすべてのがんの死亡リスクと花粉症との関係を調べた報告を発表した。群馬県内の40~69歳の男女8796人を8~15年間追跡し、がんを含む全疾患の死亡リスクと花粉症の関連を調べた。すると、花粉症の人は全疾患の死亡リスクが43%低く、特にがんは52%も低かった。
こうした多くの研究をみると、アレルギー体質の人にも「予防効果」のないがんがあり、肺がんや乳がん、膀胱がんなどはアレルギーのない人と変わらないという。また、アレルギー体質の内容にも差があるようだ。2011年のデンマーク・コペンハーゲン大学の研究によると、ニッケルなどの金属や化学物質に触れると発作を出やすい「接触性アレルギー疾患」の人は、ほかのアレルギーの人よりがんの発症率が低く、とりわけ皮膚がんになりにくいという。