日銀審議委員に決まった桜井真氏とは何者なのか 「黒田独裁」を強める異例の人選

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   日銀の審議委員に、サクライ・アソシエイト国際金融研究センターの桜井真代表(69)が就任する人事案が2016年3月22、23日に衆参両院でそれぞれ可決された。1月の金融政策決定会合でマイナス金利政策の導入に反対した白井さゆり審議委員の後任として、4月1日付で就任する。

   「黒田バズーカ」と評される大規模な金融緩和策に賛成の立場といわれ、黒田東彦総裁の指導力が一段と強まるとみられる。一方、安倍晋三政権のなりふり構わぬ人事によって、日銀政策委内の意見の多様性が失われるとの危惧も強まっている。

  • 官庁ではほぼ無名の桜井真氏選任。狙いは何なのか?
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市場関係者にも知られていなかった人物

   政府が桜井氏の人事案を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した3月4日、市場関係者や霞が関の官庁関係者の間には驚きの声が広がった。桜井氏がほとんど知られていなかったからだ。

   どんな人物なのか。1970年、中央大学経済学部卒で、76年に日本輸出入銀行(現・国際協力銀行)に入行し89年まで在籍。大蔵省財政金融研究所特別研究員、経済企画庁経済研究所客員研究員、大正海上基礎研究所主席研究員を歴任。三井海上投資顧問取締役を経て2007年からサクライ・アソシエイト国際金融研究センター代表を務め、投資家向けに経済や市場動向を分析したレポートなどを発信しているという。

   金融政策についてのスタンスは明らかにされていないが、安倍晋三首相の経済政策のブレーンである浜田宏一・内閣官房参与(米エール大名誉教授)との共著もあり、積極的な金融緩和によってデフレ脱却を目指すリフレ派に近いとみられている。

   ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が直近の日本経済に関する桜井氏のレポートとして報じたところでは、桜井氏は「マイナス金利の適用は金融機関の収益にも影響するので、貸し出し拡大への積極的取り組みを狙ったものである」とし、「この点は量的金融緩和政策よりも、金融機関に直接的な影響を与える点ではより強い金融緩和政策といえるだろう」と評価したうえで、「デフレ解消はほぼ6割~7割達成できている」、「実質賃金の緩やかな上昇への途を確実なものとすることが当面の大きな課題であることは明らかだ」など、驚くほど黒田総裁の主張に近い見解を示している。安倍政権が打ち出し、黒田総裁が実行する大規模な金融緩和を推進していく「援軍」になるのは間違いない。

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