同じ糖尿病患者でも40代にずば抜けて自殺と事故死が多いという怖い研究を国立がん研究センターのチームがまとめ、2016年3月22日発表した。
自殺だけではなく事故死まで含めて糖尿病との関連を調べたのは、精神的に追い詰められる患者が多く、事故死の中に自殺的な要因が入っているからだ。
仕事を続けられなくなり、不自由な生活を強いられる
研究チームは40~69歳の男女約10万5000人(平均年齢51.2歳)を約12年間追跡調査し、糖尿病と自殺および事故死(交通事故、転落事故など病死・自他殺以外の死)との関連を調べた。
その結果、糖尿病と診断された40代の人は、そうでない40代と比べ、自殺と事故死を合わせた死亡リスクが1.9倍に上がり、50代でも1.4倍になった。しかし、60代は変わりがなかった。事故死だけを調べると、40代の人は2.3倍、50代は1.5倍に上がったが、やはり60代は差がなかった。
なぜ、40代の糖尿病患者に突出して「自殺と事故死」が多いのだろうか。研究チームは「糖尿病患者はうつになる人が多く、精神的に不安定な状態でいると、交通事故などの不慮の事故にあいやすくなります。特に働き盛りの40代に多いのは、糖尿病の合併症である神経障害、失明、腎臓病のために仕事を続けられなくなり、不自由な生活を強いられるなど、ストレスが上の年代より強いからと考えられます」と説明している。