【震災5年 絆はどこに(4)宮城県気仙沼市】
津波と大火災に打ちのめされた魚の街 水産加工業復活で勢いを取り戻せ

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人手不足が深刻化、それでも明るい兆しはある

   2社とも、事業再開後の歩みを徐々に進めている。福寿水産にとっては、フカヒレの相場が一時と比べれば落ち着いてきたのは好材料だ。2016年6月には新工場が竣工予定で、新商品開発を視野に入れる。専務の臼井さんは、「消費者のニーズは多様化してきており、新しいことにチャレンジしていかないと先細りしかねません」と話す。一方、ミヤカンは再開後、生産高が事業計画を上回った。3年目には震災前の売上高に戻すとの目標を立てている。

   攻勢をかけたい両社にとって悩ましいのが、人手不足の深刻化だ。募集しても、思うように人材が確保できない。

   2010年の国勢調査によると、気仙沼市の人口は7万3489人だったが、震災後の2014年3月末の住民基本台帳人口では6万8232人、さらに2016年2月末は6万6604人と減り続けている。0~14歳の年少人口も同様に「右肩下がり」で、未来を担う若い力を必要としている地元産業界にとっては厳しい現実だ。

   だが明るい兆しはある。震災で大ダメージをこうむった鹿折に、次々と水産加工施設が整備され活気が戻ってきた。2012年に設立された気仙沼鹿折加工協同組合には、2社をはじめ地元企業18社が加わった。臼井さんは、「過去に取引がなかった会社ともつながりができました」と喜ぶ。力を合わせて、気仙沼の水産業を盛り立てようというわけだ。

   ミヤカン社長の寺田さんは、これまで気仙沼に寄せられた支援を「ありがたい」と噛みしめつつも、「ずっと頼り続けるわけにはいきません」と口にする。街が完全に復興したわけではない。それでも自力で優れた製品を作り、消費者に届けるためにますます努力しなければと、決意を固めている。

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