「待機児童」問題対策、与野党のリップサービス合戦 定義すら曖昧のまま、参院選前に問われる「本気度」

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「消えた年金」問題の再来狙う野党

   政府として2015年度補正予算、2016年度予算案に保育人材の確保や保育の受け皿拡充などを盛り込んでおり、5月には「1億総活躍プラン」で中長期の対応策をまとめるが、これを待たず、3月中にも「緊急対策」も打ち出す。具体的には、既に予算に盛り込んだ保育士給与アップ1.9%分に上積みして計4%引き上げることを検討。このほか、保護者の都合などで一時的に子供を預けられる「一時預かり」制度を活用して保育所入所が決まるまでの居場所を確保する、マンションの1室などで2歳までの子を預かる「ミニ保育所(小規模保育所)」の定員規制(19人)の緩和などを盛り込み、積極姿勢をアピールする考えだ。

   野党は待機児童問題で、2007年の第1次安倍内閣時代の「消えた年金」問題の再来を狙う。民主党は、待機児童解消に向けた「緊急対策本部」を設け、保育所入所を断られた母親6人を招いて事情を聴くなど行動を開始。3月24日には民主、共産、維新、生活、社民の5野党共同で、保育施設で働く保育士や事務員、さらに幼稚園の教諭らの賃金を平均月5万円引き上げる保育士処遇改善法案を衆院に提出した。

   ただ、「即効性のある対策があるなら、とうに実行している」(政府筋)のが現実。処遇改善などの財源をどう手当てするか、さらに、安易な規制緩和で、保育士の数が少ない狭い施設でより多くの児童を預かることで目が行き届かず、いまでも絶えない事故が防げるのかなど、付け焼刃の対応には問題も多い。参院選まで日が限られるなか、どこまで政策論議が深まるか、注視する必要がある。

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