JRAが力を入れる馬好き女子「馬女」
そうしたなか、JRAも「菜七子フィーバー」に期待を寄せる。というもの、ここ数年来、JRAの売り上げはほぼ横ばい、競馬場への入場者数も微増微減を繰り返しているからだ。
たしかに、菜七子騎手が騎乗するレースの馬券売り上げは伸びている。菜七子騎手のデビュー戦だった2016年3月5日の第2レースの馬券売り上げ(場外馬券売り場、電話投票を含む)は、約5億4000万円。15年の同日開催の第2レースと比べて32%も伸びた。未勝利戦のレースの平均売り上げが約4億円なので、1億円超も多いことになる。
また、中山競馬場の入場者数は2万1953人で、15年の同日開催と比べて24.5%増。前週の土曜日(2月27日の開催)との比較では22.9%も増えた。
まさに「菜七子サマサマ」だ。JRAは「日本の女性騎手は地方での活躍が目立つのですが、中央ではいま一つなので頑張ってもらいたい」と話す。
さらに、JRAは競馬を趣味として楽しむ、馬好き女子の「馬女(ウマジョ)」を提唱。女性ファンの獲得に力を入れていることもあり、それにもひと役買うことを期待している。
菜七子騎手のJRAでの成績は3月24日現在、22回の騎乗回数で、最高着順はデビュー戦で騎乗したネイチャーポイント号の2着(16頭立て)が最高。16年デビューした騎手の中では大健闘だ。
菜七子騎手について、競馬ライターの瀬戸慎一郎氏は「新人ジョッキーは『勝ちたい』って気持ちが強すぎて、つい焦ってしまう。それが彼女の場合、意外に落ち着いていて、周囲がよく見えているようです。これって、すごく大事なこと。いまはとにかく1鞍でも多く騎乗して、スキをつける判断力を養っていけば、勝ち星はついてくると思います」とみている。
インターネットには気の早いファンもいて、JRA初勝利どころか、早くも「30勝(JRAの規定で、G1 レースへの騎乗は通算30勝が必要)して、秋のG1には乗れないかな」といった声まで寄せられている。
ちなみにJRAによると、新人ジョッキーのG1 レースの騎乗は、三浦皇成騎手がデビューして7か月と5日での騎乗が最速という。