不祥事満載、プロ野球の「綱渡り」開幕 「けじめ」のない再出発で大丈夫なのか

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「黒い霧事件」のときとは状況が大きく違う

   かつてプロ野球は、八百長試合が社会的事件となった「黒い霧事件」を克服している。その成功体験が球界にあるのかもしれない。ただし、振り返ってみると、今回とは大きく違う状況があった。

   前回の騒動のときは、巨人V9時代の真っ最中で、巨人には長嶋茂雄、王貞治という超スーパースターが打ちまくっていた。その活躍が暗い雰囲気を吹き飛ばした。ちょうど大リーグでベーブ・ルースがワールドシリーズで八百長をしたブラックソックス事件を、特大ホームランで救ったときと似ている。

   さて今回だ。何か吹き飛ばすものがあるのか、と思っている。長嶋、王、ルースは毎試合出場する打者で、だから効果満点だったのだが、現在のプロ野球にそんな大物がいるのか。

   同じく八百長事件から見事に復活した大相撲は、一場所休んで反省の形を示し、横綱を筆頭に力士たちがファンとの接触を積極的に行った。それがテレビをはじめとするメディアに紹介された。そして今、連日の大入りである。

   つまり「けじめ」である。

   開幕後のプロ野球に新たなスキャンダルが発覚しなければ、と思うばかりである。今シーズンは、優勝争いとは別に、びくびくしながらの「綱渡りのペナントレース」といえる。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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