アルコール・パッチテストで自分の体質を知ろう
なぜ、酒を飲むと赤くなる人ががんになりやすいのか。顔が赤くなるのを「フラッシュ反応」といい、アルコールを分解する酵素の中で特に重要な「ALDH2型」の働きが生まれつき弱い人に起こる。欧米人には少なく、日本人を含むアジア人に多い。よく欧米人に比べ日本人は酒が弱いと言われるのは、日本人の約40~45%が「ALDH2型」が少ない遺伝子を持っているからだ。「コップ1杯のビールで顔が赤くなる人」の9割が該当する。
アルコールは体内で有害物質のアセトアルデヒドに変わり、「ALDH2型」などの酵素の働きで有用物質の酢酸に変わる。しかし、「ALDH2型」の働きが弱いと、アセトアルデヒドが残ってしまう。このアセトアルデヒドが非常に強い発がん性物質なのだ。建築資材のシックハウス症候群が問題になっているが、アセトアルデヒドの粉末ががんを発症させるからだ。ちなみに、アルコールそのものにも発がん性があるから、悪い相乗効果が高まってしまう。
食道がんが多いのは、こんな理由からだ。口から入ったアルコールは、まず胃の中で分解される。しかし、「ALDH2型」の働きが悪いと、アセトアルデヒドのまま腸まで行ってしまい、体内に吸収される。そして肺まで血液で運ばれて気化した後、呼気として食道や口腔内に出てくる。
よく酒に弱い人がゲップするのは、アセトアルデヒドの「毒ガス」を吐いているのだ。気化したアセトアルデヒドは粘着性が高いので、肺や口腔内、食道に蓄積しやすい。また、唾液に溶け込んだものを飲みこむからますます食道に残る。
では、顔が赤くなる人はどうしたらよいのだろうか。専門医はサイトの中でこうアドバイスする。
「飲まないに超したことはありませんが、無理でしょうから、付き合い程度にとどめるべきでしょう。これを機会に自分の体質を知るために、アルコール耐性検査(パッチテスト)を近くの医療機関か薬局で受けることを勧めます。また、ものを飲みこむ時にひっかかりがあると食道がんの心配があります。定期的な検査を受けてください」