保育士の質向上と待遇アップ
保育士給与が低いのは事実であるが、保育士の質に問題があると筆者はみている。保育士試験には、養成校(短大、専門学校など)コースと保育士試験コースがあるが、後者の試験が難しくて合格率20%程度しかない。これは、前者の既得権を守っているとしかみえない。この種の話はどこの役所でもある。例えば、税理士でも税務署OBは全員、簡単に資格がとれるが、そうでない試験組の合格率は20%程度だ。
これでは、保育士全般の質の向上は難しい。そして、質が悪いから待遇も悪くなる悪循環に陥っている。
そこで、「シェアード・エコノミー」での必須要件である顧客の評価フィードバックを活用すれば、質の高い保育士を見つけられ、その待遇をアップすることができる。
「シェアード・エコノミー」を活用した待機児童対策について、安全性も確保する必要がある。自治体で一定のルールで保育士・保育サポーター・保育ママを監督するのは必須である。具体的には研修は当然として、複数で組ませること、カメラによる監視を行うことだ。今の技術ならカメラ監視(保護者からも監視が可能)もきわめて安価でできる。
地方自治体であれば、地域に応じていろいろな工夫ができる。国は、そのための財政・規制緩和支援だけをすればいい。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「戦後経済史は嘘ばかり」 (PHP新書)、「数字・データ・統計的に正しい日本の針路」(講談社+α新書) など。