【健康カプセル!ゲンキの時間】(TBS系)2016年3月13日放送
「軽度認知障害をチェック!」
現在、日本の高齢者の約460万人がかかっている認知症。その一歩手前の状態である「軽度認知障害」の人も約400万人いる。放っておくと半分が認知症に進行するというが、脳を活性化させれば回復が可能だ。
普段から「もの忘れ」をする人は多い。単なるもの忘れなのか、本当の認知症予備軍なのか心配になるが、番組ではそのチェック方法と、軽度認知障害から回復した人が登場し、脳の活性化の意外な秘訣を紹介した。
危険な「もの忘れ」とセーフな「もの忘れ」の違い
番組の冒頭、リポーターのお笑い芸人・矢田部俊がクイズを出した。
「軽度認知障害といってもピンとこない人が多いですから、普段の生活の中でよくある物忘れで、どれが大丈夫か危険か、チェックしてみましょう」
問題は次の5つだ。
(1)よく会う人の名前を忘れる。
(2)用があって部屋を移動したのに、何をするつもりだったか忘れる。
(3)人と会う約束を忘れる。
(4)昨晩の食事のおかずを忘れる。
(5)前に買ったことを忘れて同じ本を買ってしまう。
MCの三宅裕司「用があって移動したのに忘れることは、よくあるね」
MCの渡辺満里奈「私もあります。同じところからもう一度やり直します」
矢田部「2人ともヤバいですね。この中で軽度認知障害の危険信号は(2)(3)(5)なんですよ。(1)と(4)は大丈夫なもの忘れです」
三宅「人の名前を忘れるのが、なぜオッケーなの?」
ここで記憶の専門家、脳神経外科医の奥村歩医師が登場しこう説明した。
「簡単に言うと、最近の出来事を忘れたり、直近の予定を覚えていなかったりするのが非常に危ないんです」
奥村医師によると、記憶は3つのプロセスから成り立つ。(1)出来事を覚える(2)記憶を貯める(3)記憶を取り出す、の3つの段階だ。「人の名前を思い出せない」とか「昨晩のおかずを忘れる」のは、第3段階の「記憶を取り出す」ことが難しい状態で、まだ相手の顔や昨晩食事をしたこと自体は覚えているからセーフなのだ。しかし、人に会う予定や買った本を忘れることは、第1段階の「出来事を覚える」ことに問題があるから、かなり深刻なのだ。
覚える段階で異変が起こるのは、認知症の中でも最も患者が多い「アルツハイマー型認知症」の前段階の心配がある。脳神経細胞が破壊され、記憶をつかさどる海馬が縮んでしまう病気だ。
三宅「怖いなあ。私も危ないですか?」
奥村医師「たまになら心配はありませんが、頻発するようなら専門医に診てもらってください。たとえば、財布を片づけた場所を忘れることはセーフなもの忘れです。しかし、自分が忘れたのに『誰かが盗った』と思う場合は、『物盗られ妄想』と診断される代表的な認知症の初期段階です」
「おでんの具の名前」をすぐ7つあげられるか
危険なもの忘れを自分でチェックする方法がある。脳のメカニズムに詳しい古賀良彦・杏林大学教授が「マジック7(セブン)」と呼ばれる記憶力チェック法をスタジオで披露した。1つのお題に対して7つのものをすぐ答えられるかチェックする。たとえば、「野菜の名前」というお題なら、野菜の名前をすぐに7つあげる。古賀教授によると、人は1つのお題に7つまではすぐ答えられる。4つ以下の場合は記憶力が低下している可能性がある。
矢田部「では三宅さん、『おでんの具の名前』を7つあげてください」
三宅「ちくわ、ちくわぶ、昆布、ジャガイモ、ハンペン、ガンモドキ......え~と、ソーセージ」
渡辺「ソーセージはダメでしょ。ダイコンをなぜ入れないの?」
古賀教授「三宅さん、さっと素早く言えたので立派です」
番組では、91歳で「軽度認知障害」から回復した鈴木恒子さんが登場した。鈴木さんは、友だちと食事の約束をしたことを忘れ、友だちから「あなた! 何時間お店で待ったと思ってるの!」と怒りの電話が来ても、すぐに電話があったことさえ忘れる有様だった。現在は、友だちとの会食を楽しんでいる。
鈴木さんの回復方法は、「エステに行くこと」だった。毎週火曜日に近所のエステに通い、ローションを塗ってもらい、たっぷりマッサージを受けるのだ。
鈴木さん「明日、エステに行くと思うと、子どもの時の運動会の前日みたいにワクワクするの」
鈴木さんを治療した竹川広三医師は「エステ」の効用をこう語る。
「女性の場合、キレイになることが脳にとてもいい刺激になります。マッサージで体にタッチされ、会話のコミュニケーションをすることも脳にいい効果を与えます」
渡辺「あら~、すてき」