「韓国人学校(韓国学校)を増やすことが、保育所問題より優先事項なんでしょうか」――。東京都が韓国政府の依頼に答える形で、新宿区にある都有地を韓国人学校増設のために有償で貸し出す方針を発表したことが、ネット上で大きな物議を呼んでいる。
「保育園落ちた日本死ね」と題した匿名ブログをきっかけに、保育所不足と待機児童の問題に大きな注目が集まる中、ツイッターやネット掲示板には「韓国人学校ではなく保育所を」との反対意見が相次いで寄せられている。
都の課題は「保育」だけでない
東京メトロ神楽坂駅から徒歩6分。東京都が、韓国政府へ貸し出す方針で協議を始めると発表(16年3月16日)したのは、新宿区矢来町の約6000平方メートルの都有地だ。09年に閉校した旧市ケ谷商業高校の跡地で、16年度末までは新宿区立愛日小学校の校舎として利用されるが、17年4月以降の使途は未定だった。
この土地を韓国人学校の用地として貸与することを主導したのは、「都市外交」を掲げる舛添要一知事だ。16年3月20日の産経新聞電子版によると、14年7月に舛添知事が訪韓した際、朴大統領から用地確保を依頼されたことを受け、都は知事からのトップダウンで候補地を探していた。都内にはすでに韓国人学校が1校あるが、韓国側は敷地の狭さなどを理由に新たな学校の整備を求めていた。
こうした都の方針に対し、「舛添知事は韓国人学校より保育所をつくれ」と批判の声を上げたのは、都議会議員のやながせ裕文氏だ。やながせ都議は16年3月17日更新のブログで、
「都心一等地にある都有地を、韓国政府に優先的に貸与することによって、都民はどのような利益を得られるのでしょうか?」
と問題提起。東京都心で保育所不足による待機児童が社会問題化している中で、「貴重な都有地が、他国の利益のために優先的に利用される」と述べ、都の決定に疑義を呈した。
一方の舛添知事は16年3月18日の定例記者会見で、今回の貸与について「ソウルと東京は姉妹都市であって、お互いに協力し合うのは非常に良いこと」だと述べ、日韓友好のための施策だと説明。都の課題は「保育」だけでないとして、高校の跡地を韓国人学校として使用することは「決して悪くはない」とも続けた。