ランドセルの寄付について、児童養護施設の保育士が「いらない」とツイートし、話題になっている。
2010年のタイガーマスク運動から、施設にランドセルを寄付する行為が定着しつつある。16年3月17日には、プロレスラーの長州力の名を使う別人から、「タイガーマスクにだけいいカッコさせない」と、さいたま市岩槻区役所に新品のランドセル4つが届き、話題になった。
「希望をもとに買ってあげたいのですよ...」
これに対し、前出の保育士が19日、ツイッター上で異を唱えた。多くの人から贈られるものの、「正直に言わせて頂きます! ランドセルはーいらないー(>人<;)!」として、「ランドセルくらい、本人の希望をもとに買ってあげたいのですよ...」と訴えた。
すると、ツイートは大きな反響を呼んだ。別の施設の元職員は、「ランドセル、学用品、衣類、寝具はいりません。税金から新品を買います」とツイッターで保育士に同調した。この元職員はさらに、「中古品は申し訳ありませんが規定で廃棄します。露骨ですみませんが、下さるなら現金または児童全員に行きわたる量の季節の果物をお願いします」と書いている。
この主張も注目を集め、2人のツイートについては、ネット上で論議になっている。
共感する向きとしては、「正直でいいじゃん」「自己満足に利用されるのが迷惑なんだろな」「やっぱり現金か商品券辺りが無難なのかな?」といった声が上がった。異論もあり、「現金渡すのは抵抗あるなぁ」「子供に直接行く方法でないと」「欲しいもの一覧でもかいとけば?」などの指摘も出ていた。
ネット上の声について、2人も答えを返している。保育士は、現金の寄付については、子供たちに直接活かせず取り扱いが難しいとして、施設ではなく学費援助の基金などにしてほしいとした。
「施設に必要なものを問い合わせるのが一番」
一方、元職員は、現金の寄付を呼びかけたことに異論も出ていることについて、「なにに使ったかの報告書はお出ししています」とツイッターで理解を求めていた。
寄付においては、ランドセルはダメで、現金はいいといったことはあるのだろうか。
この点について、全国児童養護施設協議会では、担当者が取材にこう説明する。
「それは、施設によって違うと思います。ランドセルが足りなければ、ありがたく受け取るでしょう。現金の寄付も、施設が困ることはないはずです。施設の人からよく聞くのは、地域の人や企業から毎年継続的に寄付を受けているということです。ある日突然、ランドセルなどが贈られれば、重複する可能性があります。ご厚意はとてもありがたいですが、施設にもニーズがあり、もし可能でしたら、どんなものが必要か声をかけていただくのが一番でしょう」
ランドセルなら、カラーやデザインなどに子供たちの好みがあり、施設としては、それを聞いてそろえてあげたいという気持ちがあると言う。
岩槻区役所のケースではどうなのかと取材すると、支援課ではこう答えた。
「ランドセルは、時期的に買ってしまっている人が多く、ない子供はいないかもしれません。また、1つの施設でいいのか、別々の施設に配っても1人だけでいいのか、といった課題もあります。しかし、ご厚意ですので、ありがたくお気持ちはいただいております。必要とする施設があるか、現在は課内で検討しているところです」