郊外ショッピングモールに客を奪われる
百貨店に話を戻すと、1973年開業のそごう柏店は、JR常磐線柏駅の駅前にあり、ベッドタウンとして柏の人口が増えた恩恵を受け、柏高島屋や丸井柏店と競い合いながら売り上げを伸ばしてきた。ただ、バブル期の1991年2月期(590億円)をピークに減少傾向となった。
多くの地方都市と違って柏市は近年も人口が少しずつ増えているが、典型的な「駅前百貨店」のそごう柏店の退潮がはっきりしてきたのは、大型ショッピングモールの開店だ。2006年に「イオンモール柏」と「ららぽーと柏の葉」、2007年に「流山おおたかの森」が相次いでオープンし、購買力のある「ベッドタウンの家族連れ」の週末の買い物行動を一変させた。駅前は、立地はいいが渋滞が起きるなど車をとめるには必ずしも便利ではない。このため、ファミリー層が休日に出かける店ではなくなってきた。
柏市の近くの船橋市も似たような状況だ。ショッピングモール「ららぽーと」の巨大な1号店ができた結果、JR船橋駅前に立地する東武百貨店船橋店も経営環境は厳しいとされ、東武百貨店(池袋と船橋の2店体制)は、正社員の早期退職を募り、全体の2割にあたる約200人が16年2月末に退職したと一部で報じられた。
西武旭川店は柏以上に厳しいショッピングモールの波が押し寄せているのは柏と同じ。イオンモールが「旭川西」に加えて「旭川駅前」が存在し、2015年3月には地元資本の「アルティモール東神楽店」も旭川空港の近くにオープンした。すでに地元資本で老舗の「丸井今井旭川店」は2009年に閉店していたが、人口35万人前後の旭川市にとって、従来型の百貨店が生き残るのは厳しい状況だった。