「忍者ポーズ」の元祖「印を結ぶ」で新発見 大学実験で分かった「ルーティンとの違い」とは

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   忍者が手を合わせて呪文を唱える「印のポーズ」をとると、ストレスが緩和され気持ちが落ち着く――そんな三重大学医学部の実験結果が報道され、ネット上でも話題となっている。

   同学部の小森照久教授によれば、「甲賀流忍術を会得した忍者」5人を対象に行われた実験の結果で、印を結んだかどうかで「脳波や副交感神経の働きが全く違う」ことが分かったという。報道を受け、スポーツ選手の「ルーティン」と同じではないかと指摘する向きもあるが、小森教授は「明確な違いがある」と反論する。

  • 忍者の「印」でストレス緩和…?
    忍者の「印」でストレス緩和…?
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印を結ぶことで「闘いに適した状態」になる

   時代劇や漫画などを通じて広く知られるようになった、忍者が「印」を結ぶ動作。「臨・兵・闘・者・皆・陳・裂・在・前」に代表される9つの呪文を唱えながら、両手を決められた形に合わせるもので、「九字護身法」と呼ばれる。ルーツは真言密教にあり、戦の前に集中力を高める精神統一の手段として忍者が用いていたという。

   この「印」に科学の視点から目を向けたのは、三重大学医学部教授で精神学者の小森照久氏だ。2016年3月16日のJ-CASTニュースの取材に応じた小森教授は、「現段階で話せる部分だけですが」と前置きした上で、今回の実験について説明した。

   ストレスを専門に研究を続けている小森教授は今回、忍者が「オン・オフの切り替えを行うために」印を結んでいたのではないかと推測。同大の特任教授で甲賀流忍術継承者の川上仁一氏の協力を得て、今回の研究をスタートさせた。

   小森教授が被験者として選んだのは、甲賀流に伝わる「伴家忍之伝」に基づき、武術や呪術、呼吸法といった忍術を会得した5人の「免許皆伝者」。川上氏の紹介で見つけたという5人の「忍者」に対し、教授は15年12月から3か月間に及ぶ実験を行った。

   実験では、被験者にクレペリンテストと呼ばれる単純な足し算を30分続けさせてストレスを与えた後、脳波などを測定。その結果、テストの前後に印を結んだ場合と結ばなかった場合で、脳波や副交感神経の働きが全く違ったという。小森教授によると、被験者が印を結んだ場合は、

「身体は落ち着いているが、頭は集中力を維持している状態でした。一般に言われるリラックスとは異なり、闘いに適した状態といえます」

と説明した。一方、印を結ばなかった場合は「ストレスが負荷された状態」になった。この状態は、印を結ばない一般人10人にクレペリンテストを行った際の状態と「あまり変わらなかった」。

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