マスコミ各社のバイクと一台のワゴン車が夜の都心で「カーチェース」を繰り広げた。覚せい剤取締法違反(所持、使用)の罪で起訴された元プロ野球選手、清原和博被告(48)の「保釈映像」をめぐり、ネットでは「暴走族みたい」「マジで気持ち悪い」との批判が飛び交っている。
保釈の様子は民放各社の報道番組が生中継。夕刻のお茶の間にリアルタイムで伝えられた。ひときわ視聴者の目を引いたのは、清原被告を乗せた車を10台以上の報道各社のバイク隊が追走する映像だ。
空陸「両面作戦」で10台超すバイクがしつこく追う
世間を驚かせた「電撃逮捕」からおよそ1か月半。2016年3月17日、ついに清原被告の保釈が決定した。同日早朝から張り込んでいた社も含め、19時前の警視庁本部前にはマスコミが大集結。後部座席を黒いカーテンで覆った銀色のワゴン車が現れると、まばゆいフラッシュの光が周囲を照らした。
清原被告はこの車で警視庁のある霞が関から千葉県松戸市の総合病院に直行するわけだが、ここから映画さながらの「追跡劇」が始まる。マスコミは空からヘリコプター、陸からバイクの両面作戦で車を捕捉し続け、リアルタイムで現在地を伝えた。同時間帯の報道番組では軒並み、ヘリからの中継映像が放送されていた。
車は桜田通りの官庁街を抜けて首都高速道路へ入り、そのまま千葉に向かう。その後ろにピッタリ付けていたのは10台以上にもなるマスコミのバイク隊だ。車の動きに反応して一斉に動く様子は、まるでマラソン大会で走者の後ろを走る「白バイ」だ。
帰宅ラッシュの真っただ中にあった都心の幹線道路は交通量が多い。清原被告を乗せた車とバイク隊の一群はすっかり「大所帯」となっていたが、整然と走る車の間を巧みにすり抜け、夜の街へと消えた。
日刊スポーツ電子版は17日付けで、写真部記者の追跡レポートを掲載している。それによると、「ワゴン車までは50メートルほど。これ以上離されたらおしまいだ」「(ヘリ提供の)映像から頭をひねり、先回りをした」という緊迫した状況だったらしい。空からの映像を見ながらバイクを運転するという必死の追跡だった。