「ショーンK」が会社にいたら「解雇」できるのか? 「経歴詐称」めぐる判決書をひもとくと......

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就業規則と業務上の影響度が重要

   特定社会保険労務士の稲毛由佳氏は、「そもそも会社の就業規則の中で、重要な経歴の偽りにより採用されたことが懲戒解雇事由に該当すると明記してあることが大前提ですが、経歴詐称による解雇事案で問われるのは、業務への影響度です」と指摘する。

   稲毛氏は、「ショーンK氏の例でいえば、経営コンサルタントの肩書そのものは、とくに資格が必要なものではないので、その肩書きによって業務に損失を与えたとは言い難いのですが、彼の経歴詐称が発覚したことで会社の信頼が失墜したり、取引先が離れたりすることによる損害があれば、それを理由に解雇に相当するとの考えは十分に成り立ちます」と説明する。

   わかりやすいのは資格の有無。たとえば資格を保有していることを条件に採用したのに、じつは資格を取得していなかった、あるいは資格の期限が切れていたといったケースだ。「この場合、資格の有無が給与手当などに反映されている場合がありますから、たとえ解雇に及ばなくても、過去2年間に遡って賃金を見直すことは考えられます」と、稲毛氏はいう。

   同様に、高卒を大卒と偽った場合でも、給与体系に影響するので、その差額を請求されることがあるという。

   ただし、「即刻、解雇」となると微妙なようだ。資格の有無は、会社側が採用時に免許証や登録証のコピーなどを提出させればいいので、それを怠ったとして過失が問われる場合がある。資格が期限切れで失効していた場合も、改善の余地があるので、裁判では解雇処分は「重すぎる」と判断されることがあるという。

   ちなみに、会社が重視する「経歴」には、学歴、職歴、犯罪歴、病歴、年齢などがある。いくら採用されたいからといって、「つい」というのは避けたほうが賢明だ。

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