それにしても、ド派手に書き換えたものだ。低音ボイスのイケメンで人気を集めた経営コンサルタントの「ショーンK」こと、ショーン・マクアードル川上さん(47)の経歴詐称騒動の余波はとどまることを知らない。
米テンプル大学で学位を、ハーバード・ビジネス・スクールでMBA(経営学修士号)を取得。パリ第1大学で学び、フランスに2年間滞在したとされる、華々しい学歴はウソ。歴とした日本人で、本名は「川上伸一郎」。高校時代とは「顔が違う」と整形疑惑まで浮上するなど、もう呆れるほどのテンコ盛りだ。
政治家の経歴詐称は公職選挙法違反
そもそも、最近は経歴詐称疑惑が後を絶たない。学歴や職歴、出生に整形疑惑......、ショーンK氏ほどではないにしろ、つい経歴を詐称したり、またスキルなどについて誇張して話してしまったりする人は少なからずいるようだ。
歌手や芸人らの年齢詐称や身長・体重のサバ読みなどはカワイイものかもしれないが、政治家では、タレントの宮沢磨由さん(34)との不倫問題で議員を辞めた宮崎謙介氏(35)は、公式サイトで「2010年京大大学院工学研究科非常勤講師就任」と記載していたが、実際には起業家として講義を2回行っただけだった。過去には、2004年に民主党を除籍処分となった古賀潤一郎・元衆院議員が「米ペパーダイン大学卒業」としていた経歴がウソ。経歴詐称は公職選挙法の定める虚偽事項の公表にあたるため、議員を辞めざるを得なくなった。
そう考えると、身近にも経歴を詐称している人がいるのではないか、自分が勤めている会社にもウソの履歴書で採用された人がいるのではないか、などとつい思ってしまっても不思議ではないかもしれない。
ショーンK氏は、現在出演中のテレビ番組や春から起用が決まっていた番組から、自ら降板したが、会社に勤務するビジネスパーソンの場合は「経歴詐称=懲戒解雇」になってしまうのだろうか――。
経歴詐称による懲戒解雇をめぐって争われた裁判で、過去の判例をみると、会社側の解雇が認められなかったケースと認められたケースが、それぞれあった。
マッサージ業の従業員が年齢を偽ったケース(大阪地裁、1994年6月)や、自動車学校のバス運転手が刑罰歴を隠したケース(名古屋地裁、1981年7月)では、解雇が認められなかった。
一方、会社側の解雇を認めたケースには、グラバス事件(東京地裁、2004年12月)がある。
会社側の解雇処分が認められなかったケースでは、経歴詐称によって、従事していた仕事に支障が出たわけではなかったことから、解雇処分が「重すぎる」と判断されたとみられる。逆に、グラバス事件では、社員が「プログラミングができる」と偽って申告して採用されたが、実際にはプログラミング能力はなく、担当の業務に支障をきたしたため、会社側の解雇処分を有効とされた。