パチンコで生活保護「停止・減額」撤回に反対の声9割 大分県の2市「巡回は続ける」

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   パチンコなどを理由に生活保護を停止・減額してきた措置について、大分県別府・中津両市が、県の指摘を受けて今後は行わない考えを示した。この判断をめぐって、ネット上では、大きな論議になっている。

   別府市が2015年10月に受給者がいないかパチンコ店や競輪場を巡回したことが報じられたときは、ネット上では、「どんどんやれ」などと賛辞の声も上がった。

  • パチンコ出入りの措置巡って論議に
    パチンコ出入りの措置巡って論議に
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県が「法でパチンコ禁止されていない」と指摘

   別府市は、2回以上出入りした受給者9人について、医療扶助を除く生活保護の支給を1、2か月停止している。中津市でも、月に1回パチンコ店などを巡回し、15年度は受給者4人の支給を減額する措置を取っていた。

   別府・中津両市では、生活保護法第60条に抵触するとみて、受給者がパチンコ店などに立ち入ることを禁止してきた。60条では、「収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない」と書かれている。

   ところが、大分県が監査に入り、別府市には16年2月26日、中津市には3月16日、パチンコなどは生活保護法で明確に禁止されているわけではないとして、法の遵守を求めてきた。厚労省でも、同様な見方を示している。

   これに対し、両市は、法の解釈を示されたことから県の求めに従い、16年度からは停止・減額の措置を行わないことにした。誓約書や指示書からも、パチンコ店など出入り禁止の文言も外すことにしている。

   ただ、巡回については、今後も続けたい考えで、国や県も好ましくないとしていることから、出入りしないよう働きかけはしていくという。また、受給者が就職活動や病気治療を行わないときは、支給停止・減額の措置も取るとしている。生活保護法4条では、「利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用する」と書かれている。

「国と県がおかしい」「いや、市はやりすぎ」

   別府・中津両市がパチンコなどを理由とした生活保護停止・減額を撤回したことが一部で報じられると、ネット上では、撤回するべきではないとの書き込みが相次いだ。

「生活保護は仕事をしてない奴のお小遣いではない」「市の判断は間違えていない」「国と県の方が、おかしい」

   パチンコなどを禁止していない生活保護法も変だとして、法改正すべきだとの意見もあった。生活保護を現物支給でやるべきだとの声も出ている。

   一方、両市の措置はやり過ぎだとの声もあり、「給付の範囲内なら何してもいいと思う」「生活保護者にも娯楽が必要」「感情で行政をやっちゃダメだね」といった意見も書き込まれていた。

   生活保護停止などの措置については、著名人の間でも、議論になっている。

   3月15日放送のTBS系番組「白熱ライブ ビビット」では、タレントのテリー伊藤さんが、仕事ができない人もおり、規制すれば住みにくくなるなどとして、「何が悪いのか」と意見を述べた。これに対し、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は、ツイッターで反論し、「常習パチンコは生きていく活力にはなりません!依存症になるだけです」と指摘していた。

   別府市の社会福祉課によると、今回のことが報じられてから、電話などで意見が数十件も寄せられており、9割ぐらいが「撤回しないでほしい」「県に屈しないで」といった激励の声だという。

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