コンピュータゲームの大会で日本一になり、日本代表として国際試合に出場が決まった男性が、有給が取れないなどの理由から出場を断念するかどうか悩んでいた問題で、この男性が2016年3月16日、ツイッターで「出場できることになった」と報告したところ、ネット上で大きな話題になっている。
海外では、コンピュータゲームやビデオゲームは一つのスポーツ競技として認められ、「e-Sports(エレクトロニック・スポーツ)」と呼ばれて定着している。競技人口は全世界で1億人に膨れ上がり、大会での賞金獲得額が億を超えるプレイヤーもいるほどだが、「ゲーム大国」を自認する日本では、まだまだeスポーツの認知度が低い事が浮き彫りになった。
仕事を辞めてでも大会に出場したい気持ちだ
看護師をしているというmattun(まッつん)さんは16年3月12日、13日に都内で行われたゲーム「Hearthstone(ハースストーン)」の日本選手権で優勝した。優勝者は3月25日から3月27日までハリウッドで開催される「アジア太平洋選手権」への出場資格を得る。しかしまッつんさんには出場するための壁があったのだ。eスポーツで国内を制し国際大会出場は非常に名誉なことなのに、優勝した翌日に有給を申請したところ、
「なんなんだよおまえは?上に相談したら絶対に通らない話だぞ。報告書だせ。」
と言われたのだという。仕事を辞めてでも行きたい気持ちだが、家族があるし看護師の仕事はやめられない。もし出場できるなら賞金は同僚に対するお詫びとして使いたい、などと思いながら報告書を提出した。奥さんにも相談したのだが、
「仕事を辞めてやりたいことをやりたいって妻に言ったら無理だった。妻がラスボスだった」
とし、この時点でまッつんさんは99%出場は無理だと諦めかけていた。そして上司の、
「ふざけた頼みだけどちょっと考えてみます。行くことになったら旅行届の申請は絶対しないとだめだよ。」
との言葉が一縷の望みを繋いでいた。そして16年3月16日、まッつんさんはツイッターで、
「多くの犠牲と引き換えに、0回戦に勝利して本物の出場権を得ました。支えてくれて本当にありがとうございました もうダメと思った 折れそうだった 勇気と行動力があれば 夢は叶う」
と会社から有給でラスベガス行きの許可を得られ、さらにアジア太平洋予選手権の実質的な予選である「0回戦」にも勝利したことを報告した。