過去には訴訟に発展したケースも
一部では「テロップの改行の位置がおかしい」という声がくすぶっているものの、この対応で総じてネット上の騒ぎは収まった模様だ。ただ、テロップの不適切な表示をめぐっては、過去には訴訟にまで発展した事例もある。テレビ局には引き続き細心の注意が求められると言えそうだ。
03年11月にTBSが放送した情報番組「サンデーモーニング」では、「私は日韓合併の歴史を100%正当化するつもりはない」という東京都の石原慎太郎知事(当時)の発言に「100%正当化するつもりだ」というテロップをつけた。このVTRを受け、出演者は「問題発言」などと石原氏を批判していた。
TBSは放送から3日後の別の情報番組や翌週の「サンデーモーニング」などで陳謝。TBS側は「発言をテープから起こす際のミス。語尾が聞き取りにくかった」などと説明したが、石原氏は「製作意図そのものが事実を強引にねじ曲げるもの」などと納得せず、04年2月に名誉棄損容疑で警視庁に告訴。同庁は04年12月にTBSのプロデューサーら男性社員4人を書類送検したが、東京地検は05年3月、嫌疑不十分で不起訴処分にした。これとは別に、石原氏は約8000万円の損害賠償を求めて民事訴訟を起こし、06年2月に和解している。