かつては国家安全保障局に協力して批判
両者の対立には伏線がある。2013年、国家安全保障局(NSA)の元契約社員が、政府がアップルなどのIT企業の協力を得て、ネットなどで膨大な個人データを収集していたことを暴露。この件で批判を受けたアップルはプライバシー保護の強化を進めており、この延長上で今回、FBIの要請を拒否した。
だから、グーグル、AT&T、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ツイッター、インテル、シスコシステムズ、米ヤフー、イーベイなど30社を上回る米IT大手もアップル支持を表明している。
この問題は、米国だけに限らない。アップルは「犯罪にも悪用されかねず、外国政府が同じような要求をし始めるのも時間の問題だ」と訴える。アップル製品の売り上げの約6割は米国以外が占める。ザイド人権高等弁務官が、「(解除を認めることは)専制国家や犯罪ハッカーへの『贈り物』になるかもしれない」と指摘したように、犯罪者やテロ組織はもちろん、人権を顧みない国の政府に悪用される恐れもある。