「他人の名前が欲しい」と不正入手 住民票めぐる犯行、意外と簡単?

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   自分の住民票がいつの間にか他人の手によって別の住所に移されてしまい、自分になりすまされた――そんな事件が京都府で起こった。

   犯人は「他人の名前がほしかった」と供述した、と報じられた(産経ニュース、2016年3月8日)ため、ネットで戦慄が走っている。もっとも、こうした住民票を利用するなりすまし事件は結構起こっている。

  • いつの間にか自分の住民票が勝手に移動される怖さに「定期的に住民票調べといた方がいい」などといった声も(写真はイメージ)
    いつの間にか自分の住民票が勝手に移動される怖さに「定期的に住民票調べといた方がいい」などといった声も(写真はイメージ)
  • いつの間にか自分の住民票が勝手に移動される怖さに「定期的に住民票調べといた方がいい」などといった声も(写真はイメージ)

本人が知らない間に「別住所」へ

   今回の事件は、京都府上京区に住む40代男性が、自分の住民票がいつの間にか無断で別の住所に移されていることに気付き、2016年2月2日に警察に相談した。府警上京署は、この男性の住民票の転入手続きに上京区役所に来ていた無職の男(56)と韓国籍の無職の女(58)を私文書偽造・同行使、電磁的公正証書原本不実記録未遂の疑いで逮捕した、と3月8日に発表した。他人の住民票を勝手に移した理由について、

「薬物使用の前科があり、警察にしつこく職務質問されるため、他人の名前がほしかった」

と答えているという。

   J-CASTニュースは3月10日、上京署に逮捕の経緯を聞いた。

   それによると、被害に遭った男性の住民票は、もともと上京区にあった。それが、本人の知らない間に大阪府門真市に移っていた。容疑者らが移したものとみられる。16年2月1日、容疑者らは、今度は門真市からの転出手続きを行った。被害男性から警察に相談があったのは翌日の2月2日。捜査を開始し、門真市から「上京区に移すと言っていた」という情報を得る。上京区に対し、不審な人物が転入届けに来たら通報して欲しいと伝えると、通報があったのは翌3日だった。警官は怪しい2人に職務質問すると、2人は区の駐車場に向かい、車に乗り込んだ。警官もその車に乗り込んで職務質問を続けたのだが、車は急発進し警官は振り落とされた。道路で自転車に衝突したにもかかわらず逃走を続けたため、道交法違反(ひき逃げ)で現行犯逮捕した。

   上京区から門真市へ移した住民票を、元の上京区になぜ移そうとしたかについては、

「住民票を元の場所に戻すことで、一時的に異動したことを隠す目的だった可能性もある」

と上京署では話している。

「DNAを記録して判別するほかないのではないか」

   住民票の転出、転入届は、本人が直接窓口に出向けない場合は、委任を受けた代理人が行うことができる。今回はそれを悪用したようだ。ある市役所の市民課に話を聞くと、

「代理人の確認はしっかりとやっているが、確認の際に提出してもらうものは保険証など写真が添付されていないものでも可能だ。それが偽物という可能性はあるけれども、いちいち疑っていたら仕事にならない。なりすましによる転入、転出届が起こる可能性を否定できない」

と話している。今回の事件にネットでは、「なりすましは怖い」「背乗りなんてネット上の噂かと思っていた」などと話題になっていて、

「こわっ。定期的に住民票調べといた方がいい」
「もう凄すぎて逆に信じられないww」
「DNAを記録して判別するほかないのではないか」
「住民票ってたまにしか取得しにいくタイミングがないから、勝手に変えられてても気づきにくいよな」

などといった感想が出ている。

   実は、こうしたなりすましによる転入、転出届の事件は結構報道されている。16年2月25日には上京区の精神科医が患者名義の住民基本台帳カードを不正取得し、患者の住民票上の住所を自分の自宅に変更し、患者になりすましてパスポートを不正取得したとして逮捕された。15年7月1日には名古屋市のラーメン店経営の男が、婚活サイトなどを通じて知り合った20~40代の男女計15人の個人情報を使って住民票を不正に移し、クレジットカードを作った。被害総額は1127万円に上るという。

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