「3月11日」の不自由 「お祝い行事にバッシング」への反発と共感

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   3月11日の給食に、赤飯を出すのは「不謹慎」なのか――。東日本大震災の起きた日に提供される「卒業祝い給食」に、学校現場から「不謹慎だ」との抗議が上がったというニュースが報じられ、ネットで波紋を広げている。

   2016年3月10日に埼玉新聞電子版が伝えたもので、ネット上では、「震災と卒業祝いは全く関係ない」として、抗議の内容への反発が集まった。さらに、震災を支援する団体の代表で4年にわたって被災者と直接的な交流を続ける男性は、16年3月10日のJ-CASTニュースの取材に、「今回のような形で震災が取り上げられることで、逆に心を痛めてしまう被災者もいる」と語った。

  • 3月11日に「赤飯」は不謹慎なのか
    3月11日に「赤飯」は不謹慎なのか
  • 3月11日に「赤飯」は不謹慎なのか

抗議の電話は1件だけ

「震災の日にお祝いをするのは不謹慎だ」

   埼玉県吉川市の中学校で16年3月11日に提供される「卒業お祝い献立」に、市内の中学教諭が抗議の声を上げた。給食提供の最終日に特別なメニューを提供するこの行事は、吉川市が11年の東日本大震災より前から続けているもので、16年は「赤飯」や「お祝いケーキ」といった献立が予定されていた。

   埼玉新聞記事によると、中学教諭は「(東日本大震災の起きた3月11日は)鎮魂の日で、祝う日ではない」などと主張。「生徒に説明できない」として、市の教育委員会に電話で日程変更を求めたという。

   吉川市教育総務課の学校給食係は、10日のJ-CASTニュースの取材に対し、「把握している限りでは、抗議の電話は1件しかありませんでした」と明かす。続けて、

「昨年の『お祝い献立』の提供日も3月11日でしたが、こうした指摘が寄せられたのは初めてで、ただ困惑しているというのが正直な感想です。給食の献立を変更する予定はありませんが、こうした意見が寄せられたことを踏まえ、何らかの配慮を学校へ要請することを検討しています」

と話した。また、埼玉新聞の報道をきっかけに、「(お祝い献立は)別に問題ない」「気にせずお祝いを続けるべき」といった肯定的な意見が市に相次いで寄せられているという。

「3月11日生まれの人は誕生日のお祝いが一生できない」のか

   今回のニュースはネット上でも大きな注目を集め、ツイッターの「トレンド」にも10日朝から昼にかけて「卒業祝い給食」「不謹慎」といった関連ワードが登場。ネット掲示板やツイッターなどに投稿された意見を見ると、

「震災や亡くなった方を思うのも大事だろうけど、成長して巣立っていく子供達をちゃんと祝ってやれ」
「じゃあ3月11日生まれの人は誕生日のお祝いが一生できないよな」
「死者を出した被災地ならともかく、過剰な自粛は震災を利用してるみたいで嫌だな」

など、「震災と卒業祝いは全く関係ない」と訴える投稿が目立つ。あるツイッターユーザーが10日朝に開始した2択アンケートでは、17時までに集まった3583票のうち「震災の日と学校の祝いは分けて考えるべき」が96%(3440票)で圧倒的な支持を集め、「震災があった日であるのでお祝い事は控えるべき」は4%(143票)だった。

   3月11日の卒業祝い給食を「不謹慎」と考える人がいる事を、当の被災者はどう感じているのだろうか。震災で家族を失った宮城県在住の20代男性は、10日のJ-CASTニュースの取材に、「卒業と震災は全くの別問題だと感じますし、今回のような指摘をされる方に対しても、どこか違和感を覚えてしまいます」と語る。


   また、東日本大震災の被災者支援団体を11年6月に立ち上げ、16年3月現在も被災者と直接的な交流を続けている埼玉県在住の男性は、「私が被災者の心境を代弁してよいものか分かりませんが」と語りつつも、J-CASTニュースの取材に応じた。

「中学生の門出を阻害するような今回の指摘は、被災者の方としても不本意に感じるのではないでしょうか。もちろん、このように声を上げて頂くこと自体が『ありがたい』と感じる方も多いことは確かです。しかし、今回のような形で震災が取り上げられることで、逆に心を痛めてしまう被災者も少なくありません」

   続けて、4年以上にわたって被災者と交流した自身の経験から、「3月11日の震災を忘れないことは大切なのですが、今回のようにナーバスな問題として神経質に扱い続けることが、本当に被災者の為になるのでしょうか」と疑問を呈した。

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