「見栄を張っているだけ」と関係者
脇坂英理子容疑者は、見かけは派手だが、お嬢さま育ちだったらしい。
生い立ちを報じるスポーツ紙などによると、戦国武将を祖先に持つ家柄に生まれ、お嬢さま学校として知られる女子中・高を経て、東京女子医大に進んだ。卒業後は同じ大学病院に勤め、結婚もして順風満帆に見えた。しかし、4年後に離婚し、別居中にホストクラブにはまってから、借金生活が始まった。
クリニックを開業して詐欺行為に手を染めたのは、それがきっかけだという。コンサルタント会社役員からも600万円以上の借金をしていたといい、脇坂容疑者の取り分は半分ほどだったと報じられている。
クリニックの事情に詳しいある関係者は、取材に対し、次のように話す。
「会社役員がクリニックの事務局になり、運営を仕切っていました。脇坂さんは、診療報酬請求には関わっておらず、しばらく不正は知りませんでした。借金をしたりして暴力団関係者に狙われる医者は多く、彼女は、不正をするための道具として使われたんだと思います。不正で得た金は、ほとんど搾り取られていたということでした。エリート意識が強くて一般常識に疎い人は多く、脇が甘かったということです」
脇坂容疑者も周囲に「私は騙されたので、むしろ被害者」などと語っているという。
「彼女は気づいたときに警察に訴えるべきでした。私は、『行って罪を認めて来なさい』と言いましたが、彼女は『弁護士がいれば勝てる』と高をくくっていました。お金はすっからかんでしたので、今もホストクラブに行っているように見えても見栄を張っているだけだと思います」
とはいえ、ガラガラの病院にニセ患者が来れば、不正に気づかないとは考えられない。脇坂容疑者は、「弁護士が来るまで話しません」と供述しているという。